70%くらいの集中度で見ていたので、さくっと。
ヤクザ映画も、ハリウッド筋肉系映画もほとんど見ていないわたしとしては、
これはどんな見方をすれば良いか少々戸惑った作品。
ハリウッド筋肉系映画なら「はいはい、ここはつっこんじゃいけない部分なのね」と流せる
ずさんな部分(犯人受け渡し時とか、アメリカ人刑事が無理矢理捜査に参加しちゃうところとか)も、
ヤクザ風味が入ることによってどうも躓くし、かといってヤクザ映画とも言えんだろうしねえ。
それから当然、外人が日本を描いた場合の違和感もそりゃ多少はあるし、
何よりテレビの吹き替えを見たので、オリジナルではちゃんと意味があって使い分けられていたはずの
英語と日本語の台詞の区別がなくなり、元々の話があやふやに感じられてしまう。
更に言えば、松田優作の遺作と言う意味での好評を散々耳に入れていたことによって、
先入観が、わたしの中での役者たちのバランスを崩してしまった。
見方が難しかった。
その上で素直に感想を言えば、「ちょっとした味のある作品」だろうか。
内容が好みじゃないわりには、どっちかというと好き。特に外人が日本を描いた点については、
正直「ラスト・サムライ」より好きだなあ。そりゃー、おいおいヤクザの親分さんの会合は
そんな田舎の一軒家じゃやらないよ、とは言いたくなるけどねえ。
(この部分って、もしかして西部劇のイメージを引きずっている?)
何しろ高倉健の人物造型が良かったし。警察組織的にあり得ない行動、という部分を除けば、
かなり日本人的に出来上がっていると思う。彼には普通に好感が持てるもの。
BGMや自転車シーンで「そりゃ中国じゃありませんか?」と感じることはあったけど、
(自転車の多用自体は場所的に有りだと思うけど、帽子が多すぎるのが違和感)
そんなにひどい乖離はなかった。
うーん、わたしはむしろ、マイケル・ダグラスの人物造型でアメリカのお客さんが納得したのか
という疑問を感じるなあ。
アメリカ人刑事、こんなにファンタジーに描かれてて平気?これがコメディならいいけど、
そうではないわけだし。主役の相棒のアンディ・ガルシアも、間抜けといえばあまりにも
間抜けな行動……。
噂の松田優作は、なるほど。と言った印象。もちろん悪くはないが、想像の範囲内程度。
ただ、もっと色々な映画に出してあげたかった気はするね。この作品の後、もっと活躍の場が
広がる可能性もあったようだし。
日本人俳優がずいぶん出ていたんですねえ。ガッツ石松にまで台詞があるとは笑った。
神山繁は、こういっちゃなんだが、テレビドラマで似たような役柄を何度もやっているので、
少しドラマ的安っぽさを感じてしまったなあ。
わたしとしては、高倉健がペーペー扱いされるのが新鮮だった。日本国内ではもう良くも悪くも
「それなりの」扱いになってしまう人でしょ。それが、当時マイケル・ダグラスがどれだけ偉いか
知らんけれども、マサとか呼ばれて、青二才(とまではいかんか)扱いされ。
しかしそれで高倉健の廉直が際立ったと思う。印象が良くなった。
それにしても最後。あれは……やはりアレを、マイケル・ダグラスは持って帰ろうとしてたんだよね?
でも、高倉健のせいで(だけ、ではないけれども)止めたんだよね?
なんかほんとに、高倉健のための映画みたい。あの時の表情もものすごく微妙で良かったし。
そこらへんが「味のある」映画。まあ二度は見なくてもいいけれども。
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