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アレックス・シアラー「スノードーム」他

最寄の図書館にあるアレックス・シアラーの本はとりあえず全部読んだ。10冊。
読了記念に少々。と言っても、実はそれほど書くことはないが。ちなみに児童書。

どれもそこそこ面白かった。そこそこというか、読み続けられるくらいは充分に。
「青空のむこう」「チェンジ!」は普通の良い話。(個人的には少々道徳臭が気になる。)
「海のはてまで~」「ボーイズ・ドリーム」「魔法があるなら」は単純に楽しめる。
「世界でたったひとりの子」「チョコレート・アンダーグラウンド」はちょっとしたSF。
「ミッシング」はちょっとしたサスペンス。「13ヶ月と~」はちょっとしたファンタジー、
「スノードーム」はちょっと幻想風味。

毛色が違っていたから、10冊読めたということはある。多分同じような話だったら
3冊くらいで止めていた。最初の「青空のむこう」が……まあこういう言い方はなんだけど、
ただの良い話だったので少々がっかりしたくらいだから。
しかし次の「海のはてまで~」がエンタメに徹していて、むしろその方に好感。
その後も1冊毎にちょっとずつ雰囲気が変わって、その微妙な違いを楽しんだ。

どれが一番、と言われたら、うーん……「スノードーム」かな。一番大人っぽい話のせいか。
ただ、この作品については「作者、力及ばず」という気もした。
ああいう枠組みで屈折した大人の内面を描くのは少々難しそうだ。
あの話なら、もっと大人向けの幻想風味の作品として読みたかった気がする。

金原瑞人の翻訳も力を添えているかもしれない。作品全部がこの人訳ではないけれど。
たしか作品ほとんどが主人公の少年の一人称で語られるもの(だったと思う)なので、
少年としての文体は重要だが、こういうのは往々にして子供っぽくなりすぎてしまう危険がある。
(わたしは「ハリー・ポッター」にそれを感じる。)
金原訳にその危うさはなかった。まあ、どの作品も主人公の性格がかなり似て思えたというのは
あるけれども、読んでいる分にはそれは特にマイナスではなかった。

……でもアレックス・シアラーを読み続けた理由って、やっぱり彼がイギリスもんだったからかなー。
わたしはイギリスもんへの評価はかなり甘いので……作品全部が地域限定というわけじゃないけど、
やはりイギリスを感じさせる箇所に出会うとちょっと嬉しい。
「スノードーム」の舞台は(たしかはっきり書いてないけど)バースだよなー、とか。
そーいえばあそこで16ペンスのリンゴを買って、歩きながら食べたよなー、とか。
小説自体とは関係ないところで、アドレナリンが分泌されてしまうんですね。
なので、アレックス・シアラーは少々贔屓目。でも児童書好きなら読んで満足できる作品だと思う。

スノードーム
スノードーム

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