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<華麗なる一族(第一話)>

ドラマはめったに見ない方だが、これは散々(20時55分まで)悩んだ末に見た。
面白かった。とりあえず一話は。

何に魅力を感じたと言って、……すみません、実はセットです。
がんがん出て来る洋風建築が。ヨダレもん。
神戸の俯瞰シーンってどうやって作ったのかな?CG?
雰囲気は上海にとても似ていると思った。神戸も昔はあんなんだったのかなあ。
でも租界になった上海と、神戸では西洋建築の浸透具合も違うものだと思うのだが……
あれほどがっつりとした西洋建築が並んでいたのだろうか。

内装なんかも、昭和40年代には見えないんだよなー。
下がっても昭和初期でしょう。この雰囲気は。
いやまあでも、いいのだ、多少考証的に変だろうと。建物きれいだったから。

ドラマにはほとんど全く期待するところがないので、思ったよりはずっと良かった。
ここんとこ、重厚なドラマって見たことなかったからね。重厚なドラマで良かったのは……
NHK大河「独眼竜政宗」までさかのぼってしまうような気がする。
あるいは「貴族の階段」とか。(これ、覚えている人いないだろうなー)

溶鉱炉?を長く映していたのは評価する。こういうの、あまりドラマでは映さない部分でしょう。
全体的に、映像に多少工夫が見られたよなー。雪山の引きのシーンも好きだった。
ただ、最初の雪山は、丹波にしては高山っぽすぎないか……

いや、気になるところはそりゃ山のように。
木村拓哉はキライなのでまともにドラマを見たことはないのだが、(うーん、ずーっと前の
「信長」役は見たかな?)「”キムタク”しか演じられないキムタク」にしては、
今回は多少なりとも……多少だけどね……演技をしていた感じ。
ただ発声がなってないのがね(^_^;)。もう少し腹から声を出さなきゃ駄目じゃないか。
滑舌も、「技術力」を言えるようになってから出直して来いと言いたい。

若い女優の台詞まわしもヒドイね。名前わからんが。台詞浮きまくりだー。
吹石一恵は気にならなかったけれども。あとの二人はもう少しいい役者だと良かったね。
何より肖像画はまずかろう。似せすぎだろうよ、アレは。
やっぱりもう少し上手い肖像画家を使うべきではなかったのか。しかも、あそこまで
歴然と似せさせると、品がありませんわな。

あとは鯉ねー。
原作にあるのなら、それはそれでいいと思うんだよ。でもこういう類のエピソードは、
よほど上手く作らないと逆効果……。達者な筆の描写にはかなわないと思うし。
鯉や蜘蛛という自然物を使ったモチーフはわたしは好きだし、最近の軽薄短小ドラマでは
なかなかこういう手法を使わないような気がするので、嬉しいことは嬉しい。
それで話に奥行きが出たりするもんですよ。
が、あの鯉はギャグだったですからね。もう少しあっさり、一瞬だけ流した方が上品だった。
あれでは「鉄平が爺さんの子であることを確信」させられません。ここは演出の完全な失敗。

良かったのは、前述したようにセットと、北大路欣也が銀行を見下ろすシーン。
あれは近年見たことのない構図で非常に気に入った。山本耕史のあの立ち位置がにくい。
埋没しそうでしない、微妙なところ。

鈴木京香はやりすぎず、なかなかいい演技をしているのではないでしょうか。
北大路欣也の演技がわずかに鼻につき、津川雅彦がやりすぎているのに対して、
彼女はついついやり過ぎそうな役にも関わらず、わりあいさらっとやっている。
一話におけるキャストの一番を決めるなら、鈴木京香だと思う。

さて、しかしどうだろう。今後最終回までの流れは。
はっきりいって、話をまとめるのは難しいと思うよー。わたしは原作を読んでないけど、
一話を見るに、激動の昭和40年代経済活動を描ききり、その一方で人間の愛憎の絡まりあいを
丹念に描写しなきゃいけないんでしょー。しかも1クールで。
出来るかねー?脚本家&演出家。昨今のドラマ業界の実力を見ると、
(ものすごく遠くからしか眺めてないけど)
そこまでの力量を期待するのは無理な気がしてしょうがないのだが……
これがちゃんと描ければ快挙になるでしょう。

まー視聴率はそれほどいかないかもしれないけどね。
話地味だし、小難しいし。特に経済がらみのストーリーに関しては、どうしても
ナレーション頼みになってしまうだろうし。ここをいかに上手く飲み込ませるか。

変な話だが、わたしとしてはつまらないドラマであってくれたほうが良かった。
だって毎週同じ時間にテレビの前に拘束されるのって面倒じゃないですかー。
「一話見たけどつまらなかった」で済んだら、今後見る必要がないし、ラクだったのになあ。
まあしょーがないので次回も見ます。多分全部を見ることはないだろうけど、
少なくとも次回を見ようと思うくらいには今回は面白かった。

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