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◆ 徳川十五代将軍展 国宝・久能山東照宮の名宝

11月9日まで仙台市博物館で開催中。
9月12日からやっていたので、最初のうちにちゃっちゃと行ってしまおうと
思っていたのに、延び延びになってわりとぎりぎりで行って来ました。

仙台市博物館は、最近近くにクマが出ましてねえ……。
もともと青葉城の三の丸にあるし、青葉城は山城なので、博物館の裏が広範囲の森で
昨今の情勢ではまあクマも出るかもという土地柄だが、
実際に出るとやはり危機感はありますね。
観光客も多いし、職員の方も交通整理員の方もいるし、対策が必要になりますかねえ……

展覧会自体は全然ハードルを下げて行ったので、なかなか面白かったですよ。
入場料は1600円。いや、これ高い……もったいない……行くの止めようか……とは
思ったが、実際に行ってみるとまあまあ、1600円、出してもいい内容でした。
1300円くらいだったらうれしいけど。

「美」よりは「歴史」に寄った出展物。でもその中でも美もそこそこそありましたな。
一番印象に残ったのは……徳川吉宗の「桃小鳥図」。
これは上手いよ。ちゃんと日本画。小品ではあるが、ちゃんとした絵師の作品に見える。
桃の枝に止まる小鳥。繊細な画風。吉宗のイメージからすると繊細すぎる。

吉宗はその隣にも書が出展されていて、素人のわたしから見るとなかなか見事。
書は墨痕淋漓というさま。繊細さと雄渾さが同居しているのはすごい。

あとは、家光のフクロウの絵が……最近ピヨピヨ鳳凰などを始めとして家光の絵、人気ですが、
なかなか実物を見るチャンスがないと思うんですよね。
収蔵しているところに行っても、いつも展示しているとは限らない。
特に日本画はね。光に弱いからね。
これに1600円を払うんだと思って行ったので、見ることが出来てうれしかった。
……まあ想像通りほよほよしているわけですが。

あとは綱吉の絵もね。「稼穡図屏風」……これは「かしょくずびょうぶ」と読んで、
稼穡とは穀物などを蒔いてから刈り入れるまでを意味するそうです。
これが六曲一双。大作ですよ。本職顔負けの出来だったが、
これはさすがに下描きに本職の手が入ってないかねえ。
下描きとまでは言わなくても、少なくとも構図とかは。
この大作を趣味程度でここまで描けたら相当ですよ。上手いとかいうレベルじゃない。
同じ人の「神農像」も普通に上手く。とはいえ、これは並みのサイズですから。

エキシビの目玉は徳川十五代の鎧を並べたこと。これは壮観。(正確には秀忠以降の十四代)
並べるとそれぞれ個性があって面白かった。何人か家康写しの鎧があったけど、
おしなべて印象の弱い(つまり事績があまりない)四代家綱、七代家継、十代家治が
それというのが納得。
綱吉の縹色の鎧がハイセンス。吉宗、九代家重、慶喜の鎧は古様。
サイズ感もそれぞれで、うっすらと人となりが漂う。

あとはスペイン国王から家康に贈られた洋時計がきれいだった。
これは千葉県沖で難破したスペイン船の乗組員の救助に対するお礼だそうだ。
全体が金色。こぶりだがデザイン性に優れ、繊細な装飾がなされている。
デザインを見て象嵌細工の伝統かと思った。遠く、イスラムのデザインも。

……しかしなぜスペイン船が千葉県沖で難破する?
どこからどこへ行こうとしたのか。鎖国前だが……その頃は江戸近辺にも
外国船が来ていたの?

展示品もなかなか数が来ており、ボリュームも満足。
合計一時間半くらいかな。もう少し見ても良かったけど、その後の予定もあったし、
心持ち短め。でも心残りはなかったね。

だがこの日、平日15時~16時半という時間帯でまあまあ人がいたのが驚き。
エキシビとしては決して派手ではなかったと思うし、ぱらぱらの人しかいないところで
ゆっくりと見られると思ったのに。混んでるというほどではなかったが、
空いてたとはとても言えない。

そしてうるさかったですね。こういう見学時に普通に喋っていいと思っている人ばかりで。
ひどかった。
まあ今回、わたしはエキシビに対して期待値が高くはなかったので
そこまで怒りはなかったが、気合を入れて見たいものだったら相当腹が立っただろう。
「展示は静かに見る」というのがスタンダードになって欲しいのだが。

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