面白かった~!
2022年3月の「ウェディング・ハイ」以来のバカリズムの映画。
わたしが「バカリズムって脚本もやるの?」って驚いた初めての作品だったはず。
そこから「ブラッシュアップライフ」「侵入者たちの晩餐」「ホットスポット」
と見てきましたよ。これで5作目ということか。全部面白かったです。
バカリズムは三谷幸喜→クドカン→のコメディの流れを継ぐだろうなあ。
今回の作品もコメディ。くすくす笑う。
意外にレビューに「笑えなかった」という意見が散見されるのは、
あれかねー、ベートーヴェンのイメージが固まっている人といない人の違いってこともあるか?
わたしはベートーヴェンを森雅裕の「モーツァルトは子守唄を歌わない」で上書きしているので
ちょっと一般的なベートーヴェン像とは違うだろうが、
あの気難しそうな、全然軽口とか叩かなさそうなベートーヴェンを
古田新太がふややや~って感じで演じるだけで十分笑えた。
もうそれだけで十分だったので、コミカルもりもりだ~と思いながら見てた。
――だが、そのコミカルからの「第九」。チッ、と思いつつ泣かされた。
第九信者にはなりたくないのだが……。でもやっぱり「歓喜の歌」のあの盛り上がりには
やられてしまうよね。
音楽が良かったねー。クラシックで埋めたのも良かった。
まあわたしは個々の曲のタイトルはわからないが。
バカリズムの脚本は起承転結というより、メリハリのきいた笑いというより、
最初から最後までずーっと一定のテンポで一定の密度の会話を詰め込むのが肝な気がする。
今回は会話というより、ナレーション……ナレじゃないな。
一人称の語りが肝。これは山田裕貴が喋ってるんだけど、この量を喋るのは大変だ。
多分暗記せず台本読み上げでいいんだろうけど。
大変だねえ、と思いながら聴いていた。喋りっぱなしだもの。
しかしコミカルな前半に対して、最後はけっこうシリアスで収束しましたよね。
そこもいいと思った。全部コミカルだとやはり飽きる傾向がある。
でも実は、最後の染谷将太と山田裕貴の会話の最初の方は少し寝てしまった。
退屈ではなかったんだけどね。
ただ、時代物の主筋を脇筋の現代パートで挟むという作り方は、
わたしはあんまり好きじゃないのよね。
今回は現代パートにも意味があったとは思うが。
まあ最初から最後まで時代物にするのも難しかったかもしれない。
でも現代パートに戻されるたびに冷めてしまう部分はあった。
役者たちが曲者揃いで豪華。
わたし実は、山田裕貴、うっすら好きではなかったのよね。
特に理由はないんだが。多分この人ががっつり出ている作品は見ていない。
大河の2本を、直虎は一応通して見たか。家康は途中で撤退くらい。
――あっ、ごめん、わりと最近、「ゴジラ ー1.0」をテレビで見たわ!
だが山田裕貴の役柄を覚えてない……。船の乗組員の若い子でしたか?
でも後半の年取ってからの狷介な表情は大変いいと思いました!
少し顔の輪郭もシャープになってね。これは曲者じゃんね。
もしかしたら化けるかもしれんね。まだ好きとはいえないが、今後要注目。
古田新太はいうまでもなく。いうまでもなくはおかしいか。
特に何もいうことはないほどいつもの古田新太。過不足なし。満足。
染谷将太かー。あれ、染谷将太かー。だいぶ若く見えたんだよね。
そして癖のない役での染谷将太を久々に見たから、ほんとに本人か自信がなかった。
また、実はホルツ役の人が、ずっと半分柳楽優弥に見えていた。
これ柳楽優弥……?それにしては若いよなあ。違う人なの?
この人もがっつり見たことはない。
出て来て嬉しかったのは、以下の人々。
生瀬勝久。小手伸也。野間口徹。遠藤憲一。西田尚美。
演技している市川紗椰を初めて見たかもしれん。あ、この人ハーフなのか。
あと撮り方が、横顔多かったよね。なので、近年になく役者たちの鼻を眺め続ける
作品になりました。個性的な鼻が多くて面白かった。
だがなー。最後まで見て思うに、重みが足りないキャラがいたのは否めない。
ホルツとカールとヨハンはもっと書くべきだったのではないか。
ここらへんをもっと深く書いたら、話として動きがあったのではないか。
バカリズムの脚本は言うたら平坦で、そこが良さでもあるが、物足りない時もある。
ちょっとくらい悪者が出て来た方が話が締まると思うんだけどね。
ホルツと直接対決する場面はあった方が良かったと思うし、
カールの境遇をもっと詳しく、ヨハンの暗躍があれば説得力が出たと思う。
あとどうでもいいことだが、シューベルトとチェルニーの役者は逆ではないかと思った。
シューベルトはたしかあだ名が「ちびきのこ」だったはずだから……。小柄で小太り。
チェルニーは好男子ではなかっただろうか。
予算はかなり少なめだと思う。邦画としての一般的な予算。
とはいえ、面白かったです!満足。
あ、そうそう。原作の本もいつか読んでみようかと思った。あと8年後くらいにね。
その時は他の人が書いた、ベート-ヴェン伝記界隈も見てみよう。
他の人の視点でね。
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