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< 1995~地下鉄サリン事件30年 救急現場の声~ >

タイトル通り、地下鉄サリン事件のドキュメンタリードラマ。
当時の実際の音声・映像を多用している。

わたしはツライ題材は嫌なのよ。例えば戦争。例えば災害。
こんな事件なんてもってのほか。
――だが、ツダケンが初主演というならご祝儀替わりに何とか見てやろうかと。
しかしやっぱり見るのがイヤで、3月放映の録画を8月になってから見た。

うん。どちらかというと穏やかな作りのドラマだったね。予想外。
むしろ実際よりもはるかに落ち着いたトーンであったと思った。
ありがたかったけど、それはそれで、現場の混乱と焦燥を写しているのか気になった。

特に病院部分かなー。
通常見ている医療ドラマの影響を受けているせいかもしれないが、
実際はもっと緊迫感があったんじゃないかと思うのよね。
むしろプロの本領である冷静さを写しました、という狙いならそれはアリだろうが。
でもその狙いであるのか、それともドラマとして脚本が練れてないのか、
どっちだろうなと思うくらいの作りではあった。

だが、ドラマとしてよりも知識欲を満たしてくれる映像として感心する部分はいくつもあった。
まず一番感銘を受けたのは、――なんか違うという気もするけど、運転席から見た
地下鉄の風景ですね。こんなに長く映してくれることないもんね。
へえ、こんな風になってるんだあ、と思った。狭い。細い。暗い。
これは閉所恐怖症の人は運転士にはなれないかもねえ。わたしも無理かも。

そして、やはり初動の甘さ。甘さといってしまうのは不公平だが、
――地下鉄サリン事件までの日本で、まさかあんなことが起こるなんて。
大多数の人は思わなかったんですよね。

事件のアウトラインを知った30年後の我々から見れば、いかにも歯がゆい行動……
いや、それを掃除なんかするなよ!素手で取り扱うな!もっと警戒せんか!と思うが、
今でこそ「異臭」や「不審物」という言葉が意味がわかる言葉として流通するけれども、
当時「異臭」なんて、言葉として流通してなかったですからね。

事件を経た後なら、そういう信じられないことが起こってしまう可能性に思い至っても、
起こる前はまさに「思いもよらない」ことだったですよね。

……しかし変だと思うところは何ヶ所もあって、完全防備の防護服で地下鉄事務所に行く
救急救命士?が、なぜ毒物のビニール袋をむき出しで持って歩くのか……
せめてなんか密閉容器を用意していけよと思うし、地上でそれを受け取った人が、
マスクも何もしないでいきなりビニール袋の口を開けて識別作業に入るなんて。
いやいやいや、それはないやろ!といいたい。

それでいえば警察の研究所の人も防御力がアマイ。
しかもある程度毒物の危険度もわかっているくらいの人でしょう。
屋上に持って行く程度でいいのか。それこそ防護マスクくらいしたらどうか。

ツダケンは、「ツダケンだなあ」ということが意識に上らないくらいの自然な演技。
今後ともいい役を得ていってくれるとうれしい。朝ドラでもいい役ですしね。
よろしくお願いします。

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まさかこんなことが現実で起こるとは……と愕然としたこの事件。
悪夢のようだった。

その6年後には911が起こる。
何の気なしに変えたチャンネルで、ビルに刺さった飛行機の映像が映って理解出来なかった。
フィクションじゃないのか、確かめた。他のチャンネルでも、同じ映像を流していた。
信じられなかった。まさかそんなことが……現実で起こるとは。

でも一番信じられなかったことは、アメリカが安易に軍隊をアフガニスタンに送ったこと。
あまりにも拙速に感じた。揶揄も含みながらも「パックス・アメリカーナ」と言われていた
まさにその国が、餓鬼大将の本性を現して、
どこがどの程度関わっていたのかわからない相手国に、豊富な軍事機器に物を言わせ
民間人までを攻撃する。

日本で。世界で。この世界は歪んでいく。もう歪みを正すことは出来ない。
世界は平和になる道はないのだ……
世界を諦めさせられた。その象徴としてのブッシュ息子をいまだに恨んでいる。
今後おそらく、死ぬまで続くだろう。

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