大変興味深かった。面白かった。けっこう難しかったけど。
半分くらいまで読んで、間に一週間くらい空いて、後半一気に読んだら
前半の細部は忘れているし、後半は2時間くらい続けて読んだら内容が細かくて若干飽きた。
書いてある内容は興味深いんだが、わたしの知識がそれをはっきり理解できるほど深くない。
加えて記憶力がない。
まあでもとにかく、前半の驚きは――かなり大きな驚きは、
伊勢神宮と斎宮は全く別組織だったということ。
なんだったら利害の対立さえあったかもしれないということ。
わたしは最上位に斎王がいて、伊勢神宮の大宮司がいて、まあ実務及び実際の権力は
大宮司が持っていたかもしれないけど、あくまで斎王が最高権力者だと思っていた。
斎王が参加しない伊勢神宮の儀式もあったと読んで「え!?」と思った。
伊勢神宮は祭主を世襲したい大中臣氏。その下につく宮司たち。
宮司たちに反発をする禰宜層。
それらとは違う権力構造を持つ斎宮。省庁としての機能もある。
経済基盤も違う。奪い合ったり競い合ったりもしたことだろう。
後半は、意外に斎王の重要性は流動的で、重んじられたこともあったし
それに伴って権力を持っていたこともあったが、思ったよりも王権からは離れていたこと。
時代的にゆるやかに衰退したり隆盛したりはしただろうと思っていたが、
むしろ天皇の代それぞれの政治戦略によってがらりと変わったようだ。
皇女を出しているんだから、王権との距離はある程度近いんだろうと思い込んでいた。
そうでもないらしい。
伊勢神宮自体も歴史的に祭神も祭神の立場も変わるし、権力者も変わるし、
もう本当に流動的なんだなあ。
斎宮はおろか、伊勢神宮さえこんなにあやふやな立場だとは思ってなかったよ。
本が終わりに近づくにつれて、内容はどんどん細かくなっていき、
なかなかついていくのが苦労になるが、そこらへんもがんばって読んだ。
頭には入らなかったけど。
メモを取りながら読んだら大変ためになると我ながら思うけれども、
そこまでする根性が……
伊勢斎宮についての本をあと2冊読もうと思って借りてきている。
が、良いのか悪いのか、他の2つも同じ著者なんだよね。
この本がとても良かったので著者自身に不満はないが、史料もそれほどない、
研究者もそれほどいないテーマだと、一人の見方で何冊も読むしかないから
視点が一面的になるよね。
出来れば2、3人の著書があるといいんだが、どうやら市の図書館にはない。
あとは専門書になる。まあ専門書を読むまでではなあ……
いい本でした。
コメント