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◇ 万城目学「パーマネント神喜劇」

こないだの「バベル九朔」が思いっきりこってりだったので、そういう作風の人だと
定着していたが、今作はずいぶんあっさりめでしたね。
長めの連作短編4つ。ぎりぎり中編の長さか。
2時間程度で読み終わったので楽だった。ありがたくはある。

その分あまり印象に残らないかもしれない。読んでいる間は面白かったが。
やっぱり万城目学はこってり書いてなんぼじゃないでしょうかねえ……。
ま、万城目学にはそこまで思い入れはない。現行作家では3番目くらいですか。
一に森見登美彦、二に池上永一、三四がなくて五に万城目、かな。

万城目学の特色は、設定の書き込み具合。これはなー、良くも悪くもなんだよなー。
あんまり設定に淫するのは好きじゃない。万城目学あたりにまでなればまだしも、
現行の凡百が、おしなべて設定を語ること=ストーリーだと勘違いしてしまうから。

特に4話目の震災がらみの話の書き込み具合は正直うざったかったですね。
ここまで来るとやりすぎ。どんぐりのことが……。
そういう部分を考えることが楽しいのはわかるけど、
その説明は小説じゃないでしょうよ、と言いたい。

震災は、東日本大震災に触発されて、阪神大震災の思い出を基にして書いたものだろうか。
タイミングとしてはそういうことかなあ。
わたしとしては、土地感覚をつかみながら読みたかったので、どの土地なのか
はっきり書いてあったほうが良かったな。

とはいえ、神さまのキャラクターは好きとまではいえないけど味があったし、
いまいち性格はよくわからなったけど、心配するライターも良かったし、
読後感はいいですね。薄いけど。

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