独特の美しさを持つ作品、とあったので読んでみた。
たしかに美しかった。
だがどうもハードボイルドな匂いがあるので、最後が後味悪く終わるのではないかと
恐る恐る読んで、その美しさをしっかり味わえなかった。
実際のところはどれもうっすらとした明るさをもって終わるんですけどね。
あ、「どれも」というのは短編集だったからです。
しかしどっちに転ぶかわからない危うさで、読むのがツライ。
後味が悪い小説はほんとーに読みたくないんです。
でもハードボイルドな雰囲気のわりには、読み終わってみればソフトだったかもね。
童話的な作りのストーリーもあったし。
であれば、最初からもう少し安心して読みたかったところだ。
美しかったんだから。たしかに。
短編集はみんな「鳥」がモチーフになっていた。
作者は鳥好きなのかな。ありそうでない気がする。鳥。
第三話の「密猟志願」が――ファンタジーといえばこの上なくファンタジーだが、
一番印象に残ったかなあ。ただ現実味がないよねって思うとちょっと醒めるが。
第六話の「デコイとブンタ」も、これはデコイの語りだから、
もう最初からファンタジーだが、安心できていい。
おおう!この人、1931年生まれで1994年に亡くなっているのか!
これから出て来る人だと思っていた。
本作も1991年出版か!30年前!古さを感じなかったなー。
まあだいぶ古いわたしが感じなかった古さがあるかもしれないけど。
癌で亡くなったそうだ。享年63歳。
遺した作品は8冊か9冊。全部は読まないと思うけど、あと2、3冊読もうかな。
ハードボイルドは苦手だが、何とか読めるハードさかもしれないし、
美しかったから。たしかに。
再度いうが、最初から安心して読みたかった。
最後に破局をぶつけて来る雰囲気をひしひしと感じていて、信頼して読めなかった。
次に読むのも安心して読めないわけじゃないですか。
なかなかハードルが高い。
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