うわ、来たよ、こんな厚いの。がっつり単行本で600ページ。
勘弁してよ、池澤さん。全集にこんな厚いの選ぶのは迷惑行為。
と思ったが、なんとかぎりぎり、読みました。読んだといえるほどではないけど。
全体的に何が書いてあるかはほとんどわからなかった。
まあそんなに丁寧にも読んでいない。内容的には途中で止めても良かったが、
文章が読めたので努力して読みました。
その読み方は、足元だけを見つめて歩くような歩き方によく似ている。
周りも見ずに、どこを通って来たのかもまったくわからずに、
足元の美しいじゅうたんを踏みしめて行く。
美しいじゅうたんの模様は堪能出来るけど、自分がどこにいるのはわからない。
まあ正しい読み方ではないが、そういう読み方しか出来なかったから仕方ない。
クラシカルな文章で、ロシア文学の系譜を引いた作品だと感じた。
まあ舞台がロシア社交界だからってだけかもしれんけど。
この人がその後「ロリータ」を書くようになるなんてねえ。
「ロリータ」はロシア文学とは全く関わりを感じられない、現代小説。
アメリカ亡命をしなければずっとロシアにいたのかもしれないもの、
そしたら「ロリータ」への道は通ることはなかったかも。
この話は――何の話だという説明は出来ません。だってわかってないから。
読んでる間中、「最後の解説で上手く説明してくれ……」と切望していた。
訳者による解説ももちろんそうシンプルというわけではないけれども、
1章から5章までの内容の要約を掲げていてくれるので、自信のない人は
先にそこだけ読んでおいた方がなんぼか楽です。読んだってそうわからないけど。
でも3章で突然主人公の名前が変わり、「あれ?誰コレ?」となることは避けられる。
何しろロシアの人名って覚えられないですからね!
長い上に聞き馴染みがないもんだから、全然頭に入らない。
表音文字のカタカナで表記されるので、なんとなくのイメージも残らない。
(余談だが、わたしにとってもっと覚えられないのは韓国語の人名。
こっちはこっちで短いので無理。外国の固有名詞に必然性を求めるのも乱暴だが、
順番に必然性が感じられないので、全てが互換可能な気がしてしまって。)
まあこの作品の感想は、とにかく長くて大変だったということだけだな。
あとは大変だったのに最後まで読んだんだから、文章力はあるんだろうということか。
役者の沼田さんのお手柄。
近代ロシア文学から、世界の現代文学へ。
ブンガク知らないので恐れげもなく言ってしまうが、
1人の人が、ある大陸から別な大陸を横断していくのはすごいことなのかもしれないね。
まあナボコフは今後特に読まなくていい。大変だから。
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