ひっさしぶりに日本史の概説書を読んだわー。やっぱ網野善彦、面白いなあ。
日常生活ではあまり「東」「西」を意識しないようにしているんだよね。
人間は差異を探すと無限にあり得るもので、それが距離になり疎遠になってしまう。
そんな気がするので口には出さないようにしている。
……出さないけれども、コッテコテの大阪弁は正直怖いんです……。
しかしこの本でスパッと東と西を分ける考え方を聞いてすっきりした。
自分を抑圧していたんだなあと気づく。
この程度の抑圧が悪いことだとは思いませんが。
それはともかく、東と西の考え方の違いはたとえば以下のようなことがある。
東国では、御恩と奉公の縦方向の関連性が強く、主従関係が強い。
西国では主に対してより横の連携を主体にしている。
これは百姓と領主の関係性においても対応しており、
東の農民は地元の領主に対しての服従ー庇護の性格が強く、
西の農民は連帯して領主に対する。
合従連衡を連想した。
鎌倉幕府開府以来、歴史が下がるに従って関東に本拠を持つ御家人が
西国に飛び地を得るケースも増えたが、その場合婚姻は同じ東国武士の家と
結びつくことが多く、飛び地の近隣の西国武士団にすぐに溶け込むわけではない。
逆もまたしかり。
西国と東北は親和性が高く、関東と九州の親和性が高い。
関東と九州の類似点。……これが具体例は忘れた。何かを指摘していた。
わたしは網野が述べた西国と東北の親和性には疑問を持つ。
明確な具体例としては、平家が奥州藤原氏と組んで源氏勢力と対峙しようとしたこと
くらいしか挙げられてなかった気が。
西国との親和性というより、東北では天皇に対する尊崇は強いのかもしれないと思う。
都から下って来た貴族を大切にしたらしいし。珍貴である意識はあったか。
こういう意識の差というのは具体的に検証することが難しいよね。
過去の何を調べれば差異が出るのか思いつかない。そこが歴史学の価値でしょうが。
網野善彦は面白いが、独自性が強すぎて王道とはいえないらしい。
そのアイディアが魅力的だからこそ素人にもアピールするんだろうな。
実証部分が弱い。今回のこの本も博覧強記は十分感じるけれども
事実の数字、実例は少ないと感じた。他者の説の紹介も多かった。
そこが俯瞰で見る感じでまた面白いが。
蔵書なので図書館から借りた本を読み終わったタイミングでしか読み進めておらず、
今回読んだのは残り3分の1。それ以前に読んだのは前回寝込んだ時で、
何ヶ月前だろうか。記憶がなく何とも言えない。読み終われて良かったです。
講談社学術文庫はヨイ。
置き場所があるんなら食指が動くタイトルはいくらでもあるのだが。
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