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◇ レイモンド・カーヴァー「大聖堂」

面白いとどこかで読んだのでリストアップしてみた。
「大聖堂」というタイトルなら少なくとも大聖堂のことを書いた話だと思ったから。
そういう素材なら少しは馴染みやすいかもしれない。
村上春樹訳。村上春樹は嫌いだけどね。

そしたら、こういうスタイルは嫌いだなあ、という小説でした。
侘しくて苦しくてツライ。アメリカ中流下の少しばかりの不幸な人々。
短編集、12編で編まれたものだけど、一編を除いてはみんな救いがなく暗い。
心が殺伐とする。
こういう話を読んで何かプラスのものが生まれるのか、といつもの疑問。

まあプラスになるものを読む、というもんでもないからね。
好きな人は好きでいいんだろう。

唯一、うっすらとほの明るさを感じたのは「ささやかだけれど、役に立つこと」。
それは誤解だけどね。
子どもが死んだ夫婦と先行きが不安なパン屋さんの話だから。
だが一緒にパンを食べてるだけで、少し救いがあるような気がする。
でもこの作者だと、パンを食べ過ぎて過食症になる奥さんの話が
続きそうなんだよなあ……

アメリカ文学って感じ。わたしはもう少し優しみと甘さが欲しい。
カーヴァー、もう何冊か読むつもりだったけど、この1冊でいい。

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