たしか大塚国際美術館で見たピーター・セヴェリン・クロイアの絵(陶画)が
印象的だったので、関連図書を読もうと課題図書リストに載せたのが2013年のこと。
そこから8年経って、ようやく読む順番が回って来た。
が、日本語で読めるクロイアについての本はなかなかないんですねー。
クロイアってデンマークの画家らしいんですよ。
で、スケーエンっていうのは当時の画家がその風景に惹かれて集まった避暑地。
でも日本でデンマークの美術史は遠い……
地元の図書館で手に入るのはこの本くらいでした。
これは国立西洋美術館の特別展の展覧会カタログです。
解説文もそれなりに付してくれていて、クロイアのアウトライン程度は書いてある。
ちなみにこの本では「クロヤー」なのですが、
わたしはクロイアとして出会ったし、見た目にも発音的にもクロイアの方が
感じがいいと思うので、現時点ではクロイアを使用させていただきます。
クロイアの絵は風景画、または風景のなかにいる人物を描いたものが多い。
美人の妻の肖像と、スケーエン辺りの漁師たちの絵。
この本で漁師たちの絵を見たけど、人物はかなり硬い。動きがない。
動きを写すべき漁師たちの地引網風景も硬い。
それに対して妻・マリーを描いた絵はすっごく優雅できれい。
クリーム色のドレスを着たマリーを月夜の青い海を背景に描いた絵なんて
キラキラしている。いいですねえ。欲しい。
フランス印象派と日本の浮世絵の影響を受けたらしい。
そういわれてみれば平面的なのか。でも言われなければ浮世絵の影響なんて
わからないな。
しかし今回の本で、こんなに美しく描いたマリーといずれは破局して
別々な道を進むようになると知りました……。
マリーも画家だったそう。芸術家同士が一軒の家に住むのは難しいのか。
クロイアはスケーエンに来たのはどちらかというと遅く、
中心となっていたのはミカエル・アンカーとアンナのアンカー夫妻。
アンナが地元の女流画家で、スケーエンを訪れたミカエルと恋に落ちたらしい。
ミカエル・アンカーが漁師を描いた絵なんかはいいですな。
アンナは写実っぽいんだけど、肖像画でも目鼻を省略しがち。
カタログにはその他数名の画家の作品も載っていた。
わたしが知りたいのはクロイアだったので、クロイアをもう少し見たかったけど
クロイアにとってのスケーエンはそこまで大部分を占めるわけでもないだろうから、
「スケーエン」のエキシビでクロイアがそれほど来ていないのは仕方ない。
今後クロイアの画集なり関連図書なりが増えてくれるのを願う。
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