日本美術の概説書。前書きで「自分の専門分野ならいざ知らず、
全体を俯瞰してまとめるなんて荷が重い……」というような内容を書いていて、
やっぱりそういうもんなんだなあと親近感を持った。
そして読んで、やっぱりそう思った。こりゃー大変ですよ、書くの。
全体的には優等生的まとめで、固有名詞の羅列が多かった。
文章的に、内容的に、そこまで個性が出てないというか。
読んで楽しい概説書なんて大変ですよねー。
楽しい部分ってやっぱり言葉数が必要じゃないですか。
でも日本美術の概説なんて書くこといっぱいありますよ。
それを1冊にまとめなければならない上に、面白く書くなんていったら!
まあこの本は面白いというより、よくまとまったという印象の概説書です。
が、キーワードとしては相当の範囲をカバーしているので、
そのキーワードを手掛かりに深掘りしていくことも出来る。
時系列をかなり細かく並べてくれているので、日本美術の様々なジャンル、
絵、仏像、工芸、建築、などなどなど――を横並びで眺めていくことが出来る。
そういう意味では日本美術の目次ともいうべき本で、手元にあってもいい気がした。
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