美術館が出す書籍というと特別展のカタログだけしか思い浮かばなかったので、
こういうテーマに沿った普通の書籍というのが驚いた。
そして読んで、面白かったので良かった。
近年、日本美術のユルさを前面に出すテレビ特番・特別展が多くていいですね。
そういう風に言われたら見る目が変わる。
ぱっと見、日本美術というのはマジメマジメマジメというイメージだもんね。
が、洋画に比べて画風がガラッと変わる(時代的にじゃなくて、画題や画家の気分で
けっこう変わる)というのもオモシロどころだし、
一瞥で面白みのない絵だと思っても、解説を聞いてみると裏側にけっこう
面白みが隠れている。これが日本美術の面白みかなあ。
まあタイトルに「へそまがり」と入れるのはベストではなかったと感じるけど。
寒山拾得図のテーマはけっこういいですね。何人かの寒山拾得図を見ているけど、
面白く取り上げられるお得なテーマ。
曾我蕭白の「寒山拾得図」はそのグロテスクな描きぶりに驚いたなあ。
この本にも何枚もの「寒山拾得図」があるけど、バラエティーに富んでいて、
それを比べて眺めるだけでも面白そう。
コッテリ系が多いので、寒山拾得だけ集めた特別展が実際あったら疲れそうだが。
家光のあの絵に「ピヨピヨ鳳凰」という名前がついているとは……!
ぴったり!
わたし自身も相当な画伯なので家光のことは何も言えないが、
どうしてウサギを描いてこんな造型になるかね?
モデルは見られなかったもんかね?
ウサギの耳は長いっていう先入観があっても、そんな百合の葉っぱみたいな
耳にはならんやろ。
あ、これ結局、特別展のカタログだったみたいです。
それにしてはあまりカタログぽくなかったなあ。
こういうの、執筆した人の名前もちゃんと出しとけばいいのに。
一文一文署名ありにしてもいいくらいだよ。
ちょっと欲しいかな、と食指が動くくらいには面白かった。
おすすめの1冊。
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