これ、新聞小説だったんですねえ。読んでいる間は全然気づかなかった。
主人公を少年にして、その少年が南極へ行く船に密航して、いろいろな経験を
していくという話。
これは小説だけれど、読みどころは南極についてのいろいろな雑学かな。
これ、多分実際に池澤夏樹が南極に行って取材してるんですよね?
南極そのものではないが。この話は、南極海に漂う氷山を人間界までひっぱってきて
農業用水として使うというプロジェクトの話。
これって現実にあったこと?あってもおかしくないと思うんだけど、
実際にあったことにしては安易に話が進む部分があるから違うのか。
話としてはファンタジー。
リアルで構成されたファンタジー。
いや、そりゃないよ、という部分は多々あれども(密航が簡単すぎる、
簡単に氷山に遊びに行ける、輸送機に簡単に乗れる。他にもいろいろ)
まあ許せる範囲内。
冒険小説、と言っている感想も散見されるんだが、冒険小説ではありませんなー。
上述の通り、南極のことを書きたくて、それを小説仕立てにしたというスタイル。
池澤は常に世界について考えている人なので、世界についての思索も書き込まれ。
主人公が少年なので、そんなにハイレベルすぎる内容じゃなくて助かった。
ちょっと主人公が上手くいきすぎの話ではある。
こういう人生なら楽だろうと思ってしまうが。
まあ南極についての話が面白かったから、それを読む話ということで良しとする。
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