わたしは中野好夫に恨みがある。
ギボンの「ローマ帝国衰亡史」がものすごく読みにくかったんだ!
辛気臭い?内容の話を、文庫本の厚いので10巻も読まされて!
……まあ読んだのはわたしの自由意志ですけど。
そもそも読んだといえるほど読んだか?眺めただけじゃないのか?
感想を見返してみたら中野好夫の部分はそんなに読みにくくなかったらしい。
でも「ローマ帝国衰亡史」の読みにくさは骨身に染みている。
恨んでいる、という所以。
そんな中野好夫のエッセイが面白いという話を聞いた。
恨みはあるけれどもたしかに面白そう。博識だろうから。博識すぎるかもしれないが。
そして読んだら、たしかに面白かった!
まあ「前半は」という注は付く。後半は話がこめんどくさくて飽きてしまった。
中間の「エリザベス朝演劇講話」は退屈で途中で止めてしまった。
後半は、面白いものはあったけど、最後の数十ページは「もういいかな」と思って
止めてしまった。
でも前半の「シェイクスピアのおもしろさ」は本当に面白かったですよ!
こういう立場の人がこういうテーマで書くのだったら、
「シェイクスピアの楽しみ方」というアプローチになりそうなものだが、
「おもしろさ」でした。自分が感じているおもしろさ。
シェイクスピア作品は戯曲なので、単に読んでいるだけではその面白さはわからない。
などといったのであれば、どうせ芝居そのものを見なければと続くんだろう、
と予想をするが、そうではなく、
「芝居の情景を想像しながら楽しむのが正解」と続くと、
あ、そっちか。と虚をつかれる。
芝居なんてそうそう自由に見られるものではないので、
想像が正解だったら非常にハードルが下がる。
わたしだったら「芝居を見なければ」と言ってしまうから、
想像での芝居という中野好夫に好感を持つ。
一般的な解説ではなくて、本人の思いを自由に書いたところが面白い。
能の道成寺と引き比べたりして、教養がある書き手の味わい。
……この本の半分は退屈で、半分が面白かったわけだが、
面白い方はとても面白いので、読みやすい方だけを文庫にして読みたかった。
これ、中野好夫集の5巻だったので。全集は一般受けしないものも入れるから、
読みにくいことはあるんだよね。
あと数冊読む。
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