読むのに苦労した……。
ツライ話は嫌いでねえ……
この話は最初から最後までツライ。うううう、と思いながら読んだ。
訳が平易だったのが救い。
全てが閉塞的状況。
本人は病気で余命いくばくもない、
娘は遠いアメリカに行って祖国には帰ってこない、
家の敷地内にホームレスが住みついている、
住み込みのお手伝いさんとのコミュニケーションもほとんどない。
何より、南アフリカという国が閉塞的状況に陥っている。
こんな国だからこそ、娘は祖国に帰ってこない。
こんな国だからこそ、有色人種であるお手伝いさんとのコミュニケーションは難しい。
こんな国だからこそ、お手伝いさんの息子はあんな風に惨たらしく、
不可解に殺されてしまった。
家は壊され、警官は頼りにならず。どこを見回しても希望の光がない。
はー……。いやですねえ、こういう話は。
こういうのって現実だものね。なぜわざわざツライ現実にいて、
さらにもう一つのツライ現実の話を読まなくてはらないのか。
わたしは幸せな話が読みたい。
苦しみの泥沼のなかにいる主人公。
この小説は娘への最後の手紙という体裁をとって延々と展開されるけれども、
娘に余命わずかということは伝えていない。
その死後にこんな長い手紙(実際は本1冊分の長さ)、そして心情を赤裸々に
吐露した手紙、を受け取ったらげんなりする。
まあ南アフリカの人が書いた話を読めたのは良かった。
ノーベル賞作家。この人は、血筋的にはオランダ系移民を基にしてドイツや
イギリスなどあっちこっちの白人の血が入っている「アフリカーナー」らしい。
第一言語は英語で、しかも英文学の教授らしいのだが、
近年は英語一強状態に反対する手段として英語版は出版しないまま、
スペイン語訳、日本語訳、フランス語訳を出版したりしているらしい。
多分もう読むことはないと思うけれども。
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