お笑い芸人としてのピース又吉はあまり知らない。ネタ見たこともないし。
ただけっこう読書家なのは知っていて、闇が深いタイプというイメージはあった。
そんな又吉が何か書いたそうだ。こういう人が書くと、少し面白いかもなあ。
家人が当時買ったのを今頃になって読んでみた。
芥川賞は2年くらい前の話かと思っていたら、もう5年近く前なんですね。
最初の数ページは無理して「文学的」に書いた感が強く、
こんなのを200ページも読んでいくのはつらい……と思ったが、
今回のお話の焦点人物である「神谷さん」が出て来てからは、
けっこうつるつると読めた。全体的につるつる。
面白かったし、思いも感じられたし、なかなかの小説だったと思う。
が、「あの又吉が書いた」ということで読ませる部分は大きいな、と思った。
あの又吉がこんなことを考えてるんだ。という覗き見の面白さ。
まあ本人と主役が重なるフィクションの場合、覗き見の面白さは
どの小説にも一般的にあると思うからね。
そこまで本人に寄っかかった、というわけでもない。有名人であることに
100%依存した小説ではない。小説としてまともだと思う。
まともな小説だと認めた上で、芥川賞を取ってその後爆発的に売れたのは、
やはり「又吉だったから」。
いずれ別な小説も読んでみてもいいが。絶対読みたいというまででは。
お笑いの世界の話だから書けたんじゃないかなーと思わないこともない。
そう思うんだったら次作も読んでやればいいのに。
ところどころ文の繋がりが不味いところがあった。今後もう少し推敲して欲しい。
……しかしまあ、芥川賞って……全然知識がなく、知らなかったんだけど、
新人に与えられるもんなんだってね。
いやー、知らなかったわー。直木賞とならんで、中堅以降の作家に与えられる
ものだと思っていた。
そうしたら直木賞も本来は新人賞だったという話を読んでびっくり。
まあ芥川賞も直木賞も話題作りが主だしね。
わたしははるか昔に佐藤賢一の「王妃の離婚」を読んでから、
直木賞には一切期待しないと決めたんだ。いわんや芥川賞においておや。
とはいっても、北村薫や恩田陸が受賞した時は嬉しかったけど。
数ある賞の中で、現在若干の信頼があるのは「本屋大賞」だけですな。
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