わたしは読み終わる何ページか前まで、すっかりタイトルを
「かがやく日の宮」だと思っていた。
で、「かがやく日の宮」だったらどう考えたって源氏物語の話だから、
そう思って読み始めたら……たしかに最初の数ページは源氏物語ではあるんだけど、
わりとすぐ何がなんだかわからない話になっていく。
そもそもさ。かぐや姫を登場させる時の台詞が「いずれの御時か……」から
始まっちゃだめじゃないの?
それは例えるなら、「吾輩は猫である。名前はまだない」と語りつつ、
キティちゃんが登場するようなもんですよ。
(それはそれで面白いかもしれないけど)
紫式部が書きあぐねて、アンチョコとして見る秘密の巻物に
「いずれの御時か、女御更衣あまたさぶらいけるなかにすぐれてときめき給うありけり……」と書いてあってはダメだろう。
この辺で感覚を乱されたので、そのあとに描かれた話に全く乗れなかったでー。
出来れば紫式部も源氏物語も絡ませないで、
そして出来ればアルテミスとアマテラスもからませないで書いて欲しかったなあ。
アとテとスが合っているだけやん!
っていうか、地母神と太陽神ってそこまで同一に見ることもないでしょ。
幻想的かぐや姫の話ならまだまともに読めた。
この話はツギハギでしかなかった。
最初と最後を除いた中盤の、人にわすれられた天皇とかぐや姫の話で
幻想的に書いてくれれば面白かったと思うんだけどなあ。
宇月原晴明は2013年のこの作品以降、書いてはいないようだ。
兼業作家だそうなので本業が忙しいのか。
文句はいいつつ、全体的には期待をしていたので筆を折るのは惜しいね。
作風的に相当時間をかけて書くようなので、難しいんだろうなとは思うが、
5年に1回くらいを目途に1作品、書いて欲しいよ。
|
コメント