はるか昔に原作を読んだが、その内容はほとんど覚えていない。
小説は長かったねー。わたしはミュージカルを先に見たので、
ミュージカル版と比べてパリについて費やす筆が多いな、と思った。
作者が書きたいのはパリという街そのものなのだろう。
今回のドラマは、数年前のミュージカル映画と比較しながら見ることになった。
まあこれは、ミュージカル映画の圧勝だったなあ。
辛気臭いこの話でストレートプレイでは、旨味が感じられない。
しかもBBC製作。悪く言えば真面目一辺倒。息が詰まる。
ジャン・バルジャンの改心のシーンなんかも、ミュージカル版くらい
派手な方が解放感があった。
燭台を常にフォーカスするというのはドラマでしか出来ない手法で、
一定の効果はあったと思うけど、それよりもドカンと一発、改心シーンを見たかったよ。
そういうホッとする場面がなくて、常に緊張を強いられるドラマ。
まあ何しろテナルディエがただひたすら憎たらしいだけの畜生だというのがね……
ミュージカル版はひどい奴ではあるけれど、
憎さのなかにも一片のユーモアがあるというか、救いがあったんだよ。
あんなに憎たらしい奴は、最後思いっきりギャフンと言わせてやりたかったのだが、
1000フランもらって万々歳じゃないですか。
1000フランというといくら?100万くらい?(←50万~500万だそうだ)
あんなにあくどいことをして、最後は大金をもらうって。
残念だ。ギッタギタにしてやりたかった。
まあエポニーヌとガブローシュの弔慰金ではあるんだろうけど。
でもポンメルシー大佐を救った礼として支払われるんでしょ?
救ってないですからね?火事場泥棒をやってただけですからね?
今回のドラマで良かったのはジャベール警部の死の前の状況。
これは今までの舞台・映画・ドラマのなかでどこよりも丁寧に書いていた。
まあジャベールもそれはそれは嫌な奴なんですけれども。
ファンティーヌも哀れすぎて悲惨すぎて痛々しい。
わたしはそこまで痛々しいドラマを見たいわけじゃないので、どうも……
全体的に痛々しすぎましたね。
そこがわたしにとっての根本的な難点だったな。
役者は、演技力とかそういうのはおいといて、総じて顔が好みではなかった。
特にコゼットとマリウスが好きなタイプの顔じゃなかったのでノレなかった。
結論。ミュージカル版くらいの柔らかさで見たいです。
多少は明るい場面も見たいじゃないですか。
今回のBBCドラマ版は真面目に作りすぎた。
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