上巻は明るい不条理ストーリー、
下巻はドタバタファンタジー。面白かった。
アナンシって語感からいって、ケルト神話あたりだと思っていたら
西アフリカの神話だそうだ。アフリカの神話って知らんなー。
あ、エジプト神話はちょっと読んだことあるけど。
正直、なにしろ不条理劇だと思うくらいなので、ストーリーとしては
とっちらかっている。
父(=アナンシ=神)は陽気で自分勝手で、でも何しろ神様だから全てうまくいく。
物語の冒頭でこの父が死ぬ。
残された息子は生前の父に振り回されすぎて、すっかりびくびくした人間、
不運な人間になってしまった。
父の死によって解放されると思ったのもつかの間、
父そっくりの生き別れの兄がいることを知り……
なぜか主人公のファット・チャーリーがトム・ハンクスのイメージで
再生されていた。20代の若者なんだけど。
前半はチャーリーがひたすら気の毒。することなすことうまくいかない。
兄のスパイダーはやりたい放題。悪気はない人に見えるけど、
チャーリーの婚約者を寝取ったり、チャーリーのフラットに
「南国の」大邸宅ごと引っ越してきたり。何しろ神さまの息子だから
なんでも出来る。
訳者は金原瑞人。訳文は平易でもしかしたら子供向けファンタジーだと
思う人もいるかもしれないが、子ども向けではありません。
不条理劇で明るいものは少ない気がするが、これは明るい。
ヘンな話を読みたい人向け。
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