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☆< キャッツ >

面白かったです!

わたしは数十年前にロンドンで舞台を見て、日本でも劇団四季のを見て、
キャッツのCDは多分最低100回くらい聴いていますが、こういう話だということを
初めて知った。
いや、話はだいたいわかっていたが、歌詞をちゃんと見たことがなかった。
今回細かいところまでわかって良かった。

だが、映画生活で見たところ、口コミ不評ですねえ……
まあビジュアルに問題があることはある。可愛くないんですよね。

多分この部分がとても不評なんだと思う。特に日本人はカワイイものを
より強く求めますから、あの猫たちが可愛くない時点で拒否感は強かったかも。
でもビジュアルはわたしはそこまで乗り越えられないものではなかったなー。

わたしが気になったのは主役の白い子猫のヴィクトリアで、
もうちょっと華奢で小柄な人、あるいは華奢で小柄に映るような方法で
撮った方がいいんじゃないかと思った。
しかも真っ白い子猫にした方が映像的にも映えたと思うのに、なぜ中途半端に
色と柄をつける?

毛皮よりも舞台衣装の方が多分拒否感が少なかったと思う。
舞台の映像化を目指した方が良かった。映画化じゃなく。
まあ御大たちは踊らずに立ちっぱなしでもいいじゃないですか。

あとはワクワク感も舞台の方が上。
舞台を映画に移した時に、目玉が毛皮ってことだけでは残念。
舞台にはない屋外の部分が付け加えられていたり、
ヴィクトリアが歌うシーンがあったり、ちょこちょことありましたが、
独自性を出そうとして蛇足になってしまったというところはあるかな。
まあ悪くはなかったけど。

そもそも「キャッツ」って筋があってないような作品ですからね。
ミュージカルというより完全に舞踊劇。歌舞伎でいえば「藤娘」みたいなもの。
なのでそんなにストーリーってほどストーリーはなく……抽象的。
別に教訓もない。ほぼない。
それを初キャッツの人が映画で見たら、話がつまんないとは思うだろうねえ。
おいてけぼりにされてしまう。

グリザベラの歌唱はすごかったが、全体的なバランスでみるとどうかと。
やっぱり舞台的に、広範囲で見るべき作品だと思うので、
グリザベラの部分だけズームでそんなに寄られても……という気はする。
他とのバランスが悪い。演技的にもね。

でもジュディ・デンチが見られたのはうれしかった。
イアン・マッケランは猫になってもイアン・マッケランでしたなあ。
御年80歳。頑張って欲しいものです。

ヴィクトリアのバレエはなかなか良かった。あれは目の保養。
だが別にわざわざ歌わせる必要はなかったのではないか……。
今回の映画ではミストフェリーズも良かった。多分改変。だよね?

元々好きなのは鉄道猫の歌。歌を聴くだけで泣けてしまう。
でもやはり舞台の方が上だと感じたな。今回の役者さんはタップダンスがとても上手く
目の保養だったけど、舞台上でガラクタを使って機関車を表現する鮮やかさに比べれば、
CGで線路の上で踊らせる表現は工夫がなく感じた。

あとねー、これはあかんなーと思ったのが、
最後、グリザベラが天上界へ登るのだが、それをシャンデリアと気球で表されても。
あまりに現実的すぎる。ほんとに天上界へ着くのか?落下するんじゃないか?
という不安が拭えない。
そうならないように、まあシャンデリアに乗ってもいいけれども、
天の光に導かれる超自然的な演出にしてくれた方がすっきりした。

楽しかったんだけど、根本的にはミュージカルの映画化としては疑問な映画。

わたしはなー。この「キャッツ」が「レ・ミゼラブル」みたいに大成功して、
キャッツの楽曲がいくつかカラオケに入ってくれることを期待していたのだが……
「メモリー」はあるけどね。一度鉄道猫の歌が入っているところもあったけど、
日本語なんだよね。英語でお願いします。

とはいえ面白かった。「キャッツ」好きなら見てもいいと思う。
期待しすぎないように。

 

 

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