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◆ 島川美術館 その1。

聞いたこともなかったが、遠刈田に島川美術館というところがあったらしい。
わたしは美術館については折に触れてわりと情報を取っている方だと思うのだが、
この島川美術館については全く聞いたことがなかった。

さっそくネットで調べて見ると、なかなか見ごたえがあるところらしい。
これは行かねば!と思ったのだが、……その時点(数年前)で
「仙台市内へ移転するために今後休館します。時期は未定」
えぇ~~、このタイミングでぇ~~~と思いながら
その後は年に2、3度検索しつつ開館を待っておりました。

そして仙台市中心部へ移転したのがこの3月。
それは知っていたんだけれども、なかなか行かず、先日ようやく行って来た。

そしたら!ここが素晴らしかった!
展示室に一歩入ったら一気にテンションが上がった!

わたしは美術館や博物館に行った時は、いいと思った作品についてだけ
メモをすることにしています。
しかしここは一目見て思った。これはたっぷりメモを取らずにはいられない。
目で絵を見ながら筆記用具を探したが、鉛筆一本しか見当たらず。
紙がなかったので受付に引き返して恵んでもらい。
改めて展示室に足を踏み入れました。

そんなに大きいビルではないので、展示室は2階から5階までを使っている。
受付から最初に5階まで登って、そこから降りてくる形式。

……これほんとにねー、いいと思った作品がものすごく多かったんですよ。
メモを取るのに忙しすぎて、絵をちゃんと見たか……と反省するほど。
だいぶうるさいんだけど、せっかくなので取ってきたメモをある程度残しておきます。
自分の記憶のために。

※※※※※※※※※※※※

まずは5階。ここが一応企画展の場所で、基本的には入れ替わるもののようだ。
現在の企画展は「東北ゆかりの画家&作品展」。
奇譚なく言えば、このタイトルで個人美術館の企画展は全然食指が動かなかったが、
ここが良かった。

◇鷹山宇一
「森の馬」
幻想的。漆黒に近い深い緑の中に浮かび上がるような鉱物的な植物。白い馬。蝶。

◇中根寛(なかね・ひろし)
「流れ(阿賀野川)」
夕暮れの風景ですごくきれいなサーモンピンク。シルクスクリーンのよう。
下半分が阿賀野川と水田で、夕陽が反射する。かなり大きい絵。

◇福井良之助
「水辺の群落」
こんもり雪をかぶった民家。西欧とも日本ともつかない。
白とベージュのなかに彩度の低いレンガの赤が効いてていい。
温かみのある小品。おうちに飾りたい。

◇向井潤吉
「蔵王春雪遠刈田にて」
くっきりとした色使いの民家。晴れ晴れとした蔵王。これも飾りたい。

◇伊沢清
「広瀬川シリーズ」
十何枚かのシリーズ。素人っぽい感じもあるけれども、よく知っている風景という
こともあり、かわいい。あたたかい絵。

◇森本草介

森本草介が良かったなー。初めて知った画家だけどすごく気に入った。
裸婦が多いようだが。裸婦をたくさん続けて見せられても食傷するが、
何枚かならすごく素敵。
風景と静物がとてもいい。

「姫りんご」「パンジー」
ちっちゃい作品。「姫りんご」は0号だったか。超写実。これ良かったわー。
強奪したい。
「姫りんご」はロココの家具のパネルとして貼りこんだら映えるだろうなーと思った。
「パンジー」は背景の色がすごい。なんという絶妙なココア色。
黄色と紫とココア色の調和。

「布をまとう裸婦」
アングルをセピア色にしたような、和風にしたような。
これも背景の色がものすごく絶妙。繊細。

「ドルトーニュ川の水音」
西洋人が描いたような、そこに日本人の丁寧さを足したような柔らかさ。
川岸の風景なんだけど、手すりが細かかったなー。
横が1メートルくらいの絵で、手すりの縦棒が1ミリ幅。

◇葛西四雄(かさい・よつお)

「風景」
荒い、北の冬の海。近くで見るとコテでなすりつけた鋭いタッチ。
全然粗いのに、遠目で見ると白い波頭と漁村の赤い屋根がほんとに写実的に見える。
風自体が横殴りで描いたような絵。
この絵に金縁額はどうかな。誰がつけたか。

「北の漁村」
これは大きな作品。白と黒と赤。雪と海・空と屋根。赤がいいねえ。赤だよ、赤。

わたしの好みからは基本的に離れる作風だが、この人はいいと思った。
白と黒と赤の絵が4枚くらい並んでいるなか、「薔薇」という穏やかな絵もあったが、
この「薔薇」がない方が葛西四雄という画家の印象が鮮烈だ。

ここから4階。

◇鴨居玲
鴨居玲は名前だけ知っていたが、こういう画風なのか……。想像と違った。

◇小磯良平
「人形」
ぱっと明るい色使いの絵。でも二体の人形が若干コワイ……。透き通った目が。

◇佐伯祐三
「白い道」
ユトリロを荒っぽくしたような。

◇鳥海青児
「スフィンクス」
鳥海青児ってこんな画風だった?あ、東郷青児と間違ってた。
すっごい厚いマチエール。石壁のよう。

◇青木繁
「海」
モネ風。

◇岸田劉生
「麗子像」
水彩パステル。こってり厚塗りの麗子像とはまだ別の。好きかどうかともまだ別の。

「椿花図」
こってりしたチョコレート色の背景の中の紅椿。
岸田劉生のこってりは好きじゃないけどこの紅椿はいいと思った。

◇岡鹿之助
「村役場」
スーラの影響があるらしい。わたしはルソーの影響もあるように思えた。
岡鹿之助は可愛くて好きなのだが、この絵はそーでもないかなー。

◇高村光雲
「聖観世音菩薩」
30センチほど。木彫。

◇板谷波山
「彩磁草花文水差」
板谷波山大好き。いくつか所蔵があるらしいけど、これはちょっと地味かな。
展示ケースが低かったので、もう少し上げて欲しい。

◇アール・ヌーボーのガラス類
ラリックとガレが数点ずつ。ドームが少し多めで質もいい。
ガレの「マグノリア文ランプ」のでかいヤツがある。ここに電気を灯しているので、
展示物が映える。ガラス器の展示ケースにも電気を通してくれると更に映えるな。

◇和物の陶器と掛け軸コーナー。
魯山人陶器。
楽焼の黒茶碗多し。
林恭介「流星の」釉薬一文字。
中里太郎右衛門(あ、何代目か忘れた)数点。

他にも有名画家が。
高橋由一「江ノ島図」、安井曽太郎、梅原龍三郎、
ユトリロ、ローランサン。
他にもありましたけど、わたしが目に留めたものだけ。

……えー。ここまでで4フロアあるうちの2フロアなんですけどねえ。
長くなったのでその2に続きます。
実際に見ている時もすでにこの辺で疲れている……。

 

その2に続きます。

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