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◆ ストラスブール美術館展

珍しく副題がついてないエキシビ。ついてると陳腐だと感じたりするものだが、
ついてなければついてないで愛想がないと感じるな。
11月4日まで宮城県美術館で開催。行こうかどうしようか迷ってぎりぎり行って来た。

だいたい雰囲気としては予想通りでした。
予想よりもアヴァンギャルドの割合が多かったか。後半、半分弱はアヴァンギャルドで、
ヴラマンクとか。というか、わたしが名前を知っているような人はほとんどおらず。
アヴァンギャルドの部分は遠くから流して見ただけで詳しくは見ていない。

全体的には、ちょこちょこ有名作家作がありつつも、初めて聞く画家もまた多し。
そして全体的に小品。
コロー、ピサロ、シスレー、モネ、ゴーギャンその他が1,2枚ずつ来ていただけで、
作品としては大して良くもない方。

良かったのはロタール・フォン・ゼーバッハなる人。
多分4枚来ていたなかで、風景画2枚と人物画2枚なんだけど、風景画が良かったな。
「ラ・ドゥアンヌからストラスブールへの道、雨の効果」と「冬の森」。

前者は、いかにも雨、と感じさせる。ヨーロッパの淋しい街角と馬車の遠景。
遠い昔にこんな街角を歩いたことがあった気がすると思わせる。
淋しいんだけど、5、6メートル離れて見ると何故か輝く。

後者は、暖かい色調の小品。落ち葉の降り積もった質感が見事。
3メートルは離れて見ないとね。それ以上近づくとなんとなく不安感が漂う。

この2枚は買ってもいいなと思った。
しかし家の中で、遠くからしか見られない位置にかけるところは……ないな。

アンリ・リヴィエールなる人のリトグラフ「夜の海」は、ジブリを思わせる構図だと思った。
海なんだけど、雲の描き方で空に見える。「紅の豚」「風立ちぬ」を思い出した。

アンリ・マルタンなる人の「古い家並み」と「雪化粧のパリの屋根」。
どちらも離れて見ると安定感があって、買ってもいい絵なんだけど、
近くで見るとこね回した筆致で不安になる。好きな絵でしたが。

シニャックの「アンティーブ、夕暮れ」。
すごく近づいて何が描いてあるのか見えなくなっても、その色を楽しみたい。
この絵の絵の具はあまり光ってはおらず、これはこれでいいのかもしれないが、
きらきらと光っていた「フリシンゲン湾」の色の美しさが忘れられない。
あれなら欲しい。

だいぶ現代絵画に近づいたジャン・エリオンなる人の「夢想する人」。
道化ではなかったと思うんだけど、ぱっと見道化的なイメージのある人物画で、
ピカソと手塚治虫を足して2で割ったような感じだと思った。マンガ的。

期待して行くと今一つかもしれないが、特に期待はしていなかったので満足なエキシビでした。
久々のヨーロッパだしね。
最近宮城県美術館も金がないのか、あまり派手なエキシビはやらない様子。
次の芹沢銈介は行こうかな。値段によって考える。

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