この人はとてもクセのある小説を書く人で。
そこが良くも悪くも個性なのだが、本作は珍しく普通寄りの(変な)小説。面白かったです。
タイトル的にちょっと星新一を思い出すかなー。
内容も、わたしはちょっと星新一っぽいと思った。
悪夢氏というのは眠ると必ず悪夢を見てしまうという人物で、しかし本人は善意の人。
だが宿縁で結ばれたMという人物がいて、このMは他人を死に追いやる悪魔の能力を持った人。
悪夢氏とM、そして語り手である元海上自衛隊員の長隆夫の攻防、
そして悪夢氏と長隆夫の周りにいる仲間たち(というほど爽やかでもないが)の話。
連作短編集だったのが功を奏していると思う。
長編だったらやっぱりもっと変な話になっていただろうからね。
いつもはコッテリだが、今回は全体的にあっさり風味で読みやすかった。
……でも今最後の部分をちょっとだけ読み返したら、これを普通とかあっさりとかは言えないな。
普段どんだけやねん。まあやっぱりちょっと変な小説です。
ちなみにAmazonではこれを「奇妙な味の探偵小説」といって紹介してるんだけどもね。
探偵小説ではない気が……
探偵小説を期待して読んではいけません。
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