多分近所の映画館ではやらなかったんじゃないかなー。
見たいと思っていたのでテレビでやってくれて有難かったです。
もう少しチューリングが、いかにも天才!という風に描かれるのかと想像していたが、
むしろ天才の悲惨を描いていたね。
わたしは暗号がちょっと好きで、サイモン・シンの「暗号解読」も面白く読んだ。
なので、チューリングともお初ではないのだが……
悲惨さを強調していた。もう少し、楽しいこともあった人生だったと信じたい。
やっぱり面白かったのは“暗号解読!”のところ。
台詞のテンポも良ければ、イギリスっぽい仲間関係が上手く描かれていて。
でもそこでカタルシスを得た直後に人生の辛い決断を下さなければならない。
上手い話運びだったと思います。まああそこで決断をするのは、ほんとは暗号解読者たちではなく、
もっと政府の中枢にいる人たちであったろうとは思うが。
あれはおそらくストーリーを劇的にするための創作。
少年時代の純愛も痛ましいなあ。同性愛に何の偏見もないとは言い切れないわたしだが、
今となってみれば理性的には万人に認められるべき権利だしね。
機械にクリストファーと名付ける心根が(現実で向かい合っていたら退くかもしれないけれども)
切ない。
カンバーバッチは、ほんとに変人が上手い。
シャーロックとチューリングは双璧でしょう。しかし評価がうなぎのぼりの近年、
それほどいい作品に出ているかというと……そうでもない気がする。
まあわたしは出演作の内容を知らんけれども、声の出演や特異なキャラクターとして
軽く演じるのではなく、がっつりした作品にがっつり取り組んでもいいんではないか。
作品を選べる位置に来ている役者だとは思うけどね。
キーラ・ナイトレイは出始めからけっこう好きだった。
アイドルにとどまるのか、役者になるのかと見守っていたが、
「プライドと偏見」あたりから役者になりそうな感じだった。本作では役者。
でも「海賊」のエンタメ性も好きだから、彼女の方はあまり作品を選びすぎないでほしい。
本作では、肝の座った女性を演じた。
同僚たちが、もう少し魅力的だとなお嬉しかったが。
まあ悲惨な面を強調するための展開だろう。
リンゴ1個で懐柔されるのは笑ったが、色々なものを含んでのリンゴ1個だと大目に見たる。
刑事が信じてくれて嬉しかったなあ。
風貌的にてっきり敵に回るもんだと思っていたが、いい人じゃないか。
悲惨な人生の終盤で唯一の爽やかな風。おっさんだが。
総じて、予想よりもだいぶドロドロというか悲惨だったね。
もう少し幸せになって欲しかった。しかし作劇上はよく考えられた、良い脚本だったと思います。
品のいい悲惨さ。ここらへんはやっぱりイギリスという気がする。
佳作かな。名作かな。名作寄りの佳作かな。ケチすぎるか。
じゃあ名作ってことで決定。
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