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< パディントン発16:50分 >

クリスティ原案のドラマ。
しかしダメだね。テレビ局のなんだか記念って2夜連続のドラマにして金かけても、
その1夜目がこの出来では。

天海祐希は好きなんだよ。しかしこの人、時々、もう少し脚本を選べという時があるからなあ。
まあこれは本を貰った段階でそこまでグダグダになりそうには見えないタイプの
本だったろうけど。

わたしは高校時代に図書館にあったクリスティ物は全部読み(あった分だから全作品ではないが)
その後BBC制作のドラマも気づいた時には録画している。
なのでおそらく「パディントン発16時50分」も読んでいるか見ているかしている。
筋はまったく覚えてないけど。ドラマを見たあとも思い出さないけど。
まあそれはいいとして、まず何よりも設定が間違ってる。

田舎のぱっとしない老嬢→元警視庁のエリート、現“セキュリティーのカリスマ”の美女
という変更設定では、話のキモが死ぬのだ!

ということをなぜ脚本家が気づかないのか、不思議でしょうがない。
天海祐希が何もしないで高級ホテルにだらっといる必然性がないよね。何をしているわけでもなく。
湯治か?安楽椅子探偵にもほどがある。
ミス・マープルだって安楽椅子探偵をするとしたらだいぶ無理があるけれども、
高齢とか何の権力もないとか(普段は無理くり入り込んでいくけど)
事件の中枢に近づけないという理由があった。

でも天海祐希の設定なら、初めからは無理でも途中からは現場に出ていくことも可能でしょう。
セキュリティのオーソリティなんだから。現実的には無理だけど、前田敦子を家政婦として
送り込むことが出来る無理具合なら、セキュリティの専門家を送り込んでも問題ない。
何を最後まで高級ホテルでくつろがせているのかってことですよ。その必然性がない。
 
ミス・マープルものは推理の筋立て以外にも、その関係者のやりとりが面白いというのも
重要な要素であろうのに、今回のドラマでそういう部分は欠片もなかった。
何しろ、役柄と役柄が絡まないからね!全然触れ合ってない。対決してない。
単に紙人形を動かしているだけだった。ほんと、脚本家には反省してほしいよ。

安っぽい2時間ドラマ以外の何物でもなかった。
クリスティの名前を客寄せに使うな。むかむか。

そんななかで唯一、きらりと光る部分があるとすれば、原沙知絵の演技だな。
一人だけ気合の入った演技をしていた。あんな安っぽいドラマの中で
芝居をするのはやりにくかったろうに。見直した。

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原作の方を。

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