世間で大きな顔をしてのさばっている「ロリコン」という言葉は、
実はこの小説から来ているのですよ皆さん。
衝撃の問題作として世に出たらしいが、だいたいこういうのは、出た当時はそうだったかも……と
いう程度のものが多いです。
なので、ほぼ無警戒で読み始めたら、――予想よりは若干ディープでした。ちょっと気持ち悪かった。
読みながら、少女嗜好性愛に対するこの嫌悪感はどこから来ているのか?などと
考えてはいたけれども、……結論を出すまで考えるのは、やっぱり気持ち悪いので思考停止し割愛。
これは自分の心理をじっとり書いていく小説なので、全く文学畑ではないわたしが読むのはツライ。
それも少女性愛についての心理なので余計ツライ。
ストーリーはほとんどないに等しい。ロード・ムービーならぬロード・ノヴェルという
側面はあるけれども、アメリカの地名に疎いわたしが読んでもそのあたりは全く楽しめない。
道行は、その地名に何らかのイメージが喚起されてこそでしょう。
イメージも何もなければ面白さ半減。
まあとにかく読みにくい小説でしたよ。
10日前後かかったんじゃないかなあ。わりとざく読みしていた方なんだけど、
それでもなかなか終わらないのでうんざりした。描写がしつこい小説は嫌いだ。
しかしこの「衝撃の問題作」の結末がどうなるかというのは知りたかったので最後まで読んだ。
で、結末まで読んだんだけども、キルティの意味がよくわからない。
そこまで大事な登場人物でしたか?わたしが読んだ限りにおいては、
遠景人物として……まあせいぜい中景人物としてうっすら姿を現すくらいで、
そこまでハンバートの心を傷つける、ロリータの心を惹きつける人に見えないのだが。
ちゃんと読んだ人には納得できるんですかね?
ロリータのその後もなんだかなあ、なんだよなあ。あまりにも普通に、凡庸に、精彩なく着地しすぎ。
あの執着の対象が、だいぶ尻切れトンボなんですけど、これでいいの?
まあとりあえず読んだってことで。
ナボコフは他に「ディフェンス」と「透明な対象」をリストアップしているのだが、
読むかなあ、どうしようかなあ。あとで考えよう。
![]() ロリータ (新潮文庫) [ ヴラジーミル・ナボコフ ]
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