堀江敏幸は、「素晴らしい詩的散文」という書評家だか作家だかの紹介記事があったので読んでみた。
わたしは“美しい文章”を探しているので。
そして読んでみたところ、実際に素晴らしい詩的散文だったのよ。
だがしかし、内容が高尚すぎて……という言い方がいやらしければ、内容が文学的すぎて、ついていけなかった。
今回のこの本は、ジョルジュ・ぺロスについて書いている本。
そもそもジョルジュ・ペロス自体もだいぶどっぷり文学的な人で、詩人。
日本語wikiに項目がない程度にマイナー。
その繊細さが堀江本人と被る。
文学的な人が文学的な人について書いてるので、非文学的なわたしにはどうも……
読むというよりは眺める感覚で読んでいて(文章的な良さは理解出来る。しかし内容が心で味わえない)
大部分の文章からは距離を感じていた。
唯一、最後の最後で文学ではなくてペロスの人生の話になったところだけが素直に読めたところだな。
癌で亡くなったそうなんです。わりとあっけなく。
伝記なら読めるけれども、これは伝記とも違うので。ペロスの人生を追ってはいるけど、あくまで文学的なエッセイ。
堀江敏幸の本は多分3冊目なんだけども、前2冊も多かれ少なかれ、文学的な、あまりに文学的なと感じた。
なので、その文章の良さは良さとしてこの3冊で終了しようと思う。
詩は純粋に言葉だけで出来ているので、好きな詩人に巡り合うのが難しいと感じている。
小説ならば筋が好きとかキャラが好きとか、小道具が好きとか、部分部分で気に入るということがあり得ると思うが、
詩はその言葉で構築された世界のみ。
一番文学的な位置にあるものだと思うし、純粋なだけにその適用範囲は狭いと思う。
詩なら何でも好き、という人は信用できない。心の広さよりむしろ節操のなさと感じてしまう。
でも詩を短歌と置き換えると、途端に上記の意見は怪しくなる。
基本的に短歌は好きだ。もちろんなんでも好きなわけではないが、短歌が好きかと言われれば好きだと答える。
まあそれはその、形式を好きだということでいいと思うんだけどね。
散文詩の場合は形式を好きだとも言い難い。
やっぱり詩と短歌は並べなくていいかな。
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