宮城県美術館にて開催中。4月16日まで。
しかしあんまり大したものは来てないのであった。
大きさ的にも小品が多いので印象が小粒というのもあるかもしれないのだが、
小品でもいいものはいいですからねえ。
なんつーか……おしなべて駄作ってほどじゃないけれども普通作。これというほどのものはなかった。
言及するに足るのは3枚か。
「ヴィクトル・ショケ夫人」
これはピカ一。今回の展示作で唯一感動を覚えるもの。
“人”を感じる。まっすぐな瞳。誠実な人柄だろうと思わせる。
美人というわけではないけれども、この絵に描かれて、150年経った今でも魅力的。
青みを帯びた白い洋服がきれい。
「バレリーナ」
今回のエキシビの看板娘。しかし顔の左右のバランスがね。まあこういう人も時々実際いるけれども。
体のデッサンがおかしい気がするな。
色合いはわたしが好きな青っぽいルノワール。そこはいいんだけどね。
「オレンジのかごを持つ少女」
縦長のけっこう大きい絵で、ミュシャのポスターを思い出す。
背景と人物のバランスがいい。色のバランスも。オレンジ色がきれい。
以上3枚。のみ。あっさりしたもんです。
まああえて言うなら、「ボート」「ソレントの庭」の色使いはルノワールっぽくなくて若干新鮮。
それぞれシャガール、ヴァトー的な色使いか。
ブロンズ像も普通に達者なのであった。
まあ腹は立たないくらいは並んでたけど、いいものを見せてもらったという感動には欠ける。
展示の最後が木炭の習作で終わりというのはどうかねえ。気抜けすること限りなし。
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しかしそんなルノワール展の物足りなさを、珍しく常設展が補ってくれたのであった。
勝平得之をこんなにいっぱい持ってたとはね。初めて見たよ。わたしだって宮城県美術館20回や30回は来てるのに、
なんで今まで見せてくれてないのかね。
常設展はもっと入れ替えたらどうなのか。まあ外せない10枚くらいはずっと出してたっていいけど。
ワケノワカラン現代アートは早いところ引っ込めろ。
横山大観「後赤壁」だって初めて見たさね。まあ別にこれは見なくても不満はないが。画題がわからない。
「赤壁」といえばどう考えたって三国志だろうが、描かれているのは3人の仙人みたいなおじいちゃん。顔色悪い。
検索してみたら蘇軾の詩だって。
知らない人だが結城素明という人の「寒山凍雲」という山の絵が良かった。
正方形に近い画面に山!川!と描いた、あまり芸は感じない構図なんだけれども。
タイトルほど山の厳しさは感じない。むしろわずかにユーモラス。うずくまる山。
どこかたどたどしい雰囲気があって、そこがまた味ですな。
太田聴雨「牡丹芳」、伝統的な牡丹の画題の屏風だが、描き方はだいぶモダン。特に下の岩の描き方が。
ただ絵は少々(物理的に)劣化してるんではないかね。
ここら辺を見られたのが満足だ。あとはだいたいいつもの顔ぶれ。
もっと入れ替えて欲しい。川端龍子の山吹の屏風をまた見たいが、わたしが死ぬまでの間に展示してくれるんだろうか。
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