友達が貸してくれるというので、わたしにしては早速読みました。
あ、「殿、利息でござる!」の原作本ね。
磯田道史は「武士の家計簿」が面白かったな。「殿様の通信簿」もまあまあ。「江戸の備忘録」がいまいちだったか。
「龍馬史」以降は読んでない。しかし龍馬に関する本は何百と出ているだろうけど、タイトル「龍馬史」と来たときは
オヤオヤと思った。なかなかキャッチィ。
今回、原作本が小説仕立てだったのでびっくりした。アンタ学者だよね?
まあ普通に読めますけれども。学者が書いて小説仕立てで読める、というのはなかなかのハードルをクリアしているとは思うが、
どこぞのアオリで「平成の司馬遼太郎との呼び声も高く」とか書いてあるのは正直ゲンナリする。
いや、何もそこまでは……
司馬遼太郎もそんなに読んではいないので、そこまでスゴクスゴイっていう気もしないけど、立場が違うよなあ。
さらに言えば、そういわれるせいか、磯田道史の文体が司馬遼太郎の影響をかなり濃厚に受けている気がして。
手元に司馬遼太郎の本ないし、比べられないんだけどね。ちょっとアクセントをつける時の「――単語」とか。
そこらへんはけっこう気になる。あと句点の多さも気になる。
磯田道史自体は好きなんですけど。好きな道を一直線に行っている感じが。
まあそういう枝葉末節は置いておいて、話としては楽しめました。映画は映画で良かったけど、
本の方が、人間関係の葛藤を作らなくても良いだけストレートにいい話。
映画でもそうだけどさ。やっぱり中新田の代官の橋本権右衛門がすごくいい人だった!という話じゃない?
映画では堀部圭亮。予告編とかには全く出てこないけど、実はこの人がいなかったらお上に金貸しは実現してないんでしょ?
本では、訴えに行った吉岡宿の3人と酒を酌み交わし、その上、翌日の朝ごはんまでご馳走したという。
武士と百姓の身分差が大変激しいこの時代、訴えに行った者を歓待する代官なんて稀有。らしい。
まあこの人を主役にしても映画は出来ませんけども。
わたしは橋本権右衛門推し。
小説仕立てとはいえ、学者の本らしく色々新知識が得られて良かった。
仙台藩が「古い!」というのは、へーと思った。古いだけならわからんでもないが、
「太古の制度を遺している」とまで書かれてるんだから驚いた。
石高ではなく貫高で表すとか。
城下結集ではなく、武士は領内の各所に封じられ(封建制度の封の意味で)まるで領内参勤交代状態だったとか。
あとはまあ、吉岡は古くから茶所だったとか。
3人以上集まれば徒党とみなされ処罰の対象になったとか。これは何となく聞いたことがあったかな。
鋳銭を民間が請け負っていたとか。えええ~。何それ。
その他にも色々。へー、そうかい、と驚く内容が多かった。
この本の半分くらいはこの吉岡宿の話。
あとは全く別な話になって、中根東里、太田垣蓮月という人の話。読んで面白かったけど、……細かい内容は忘れた。
磯田道史、でも最近著作のタイトルはあんまりそそられないんだよなー。
危機管理の、とか天災における、とか、もちろん歴史のことなんだけどあまりにもイマドキすぎるかなー。
まあこういうタイトルに惹かれる人もいるだろうけど。
そのうちまとめて著作を読む。課題図書リストの順番が来たら。多分5年後くらい。
![]() 無私の日本人 [ 磯田道史 ]
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