1968年公開の映画。シリアスな映画は基本見ないのだが、こないだ黒部トロッコ電車に乗って来たし、
その時に宇奈月温泉にある関西電力の黒部ダムについての資料館を見て感銘を受けたし、
まあがんばって見てみようかと思って録画した。
黒部ダム自体には行ってないけど。多分今後も自分では行かないと思うが。
最初の30分はながら見&倍速再生。だって3時間超もあるんだもんよー。
でも工事に取り掛かるあたりからは、所々ながら見ながらも通常再生でわりとじっくり見た。
まず言いたいことは、……こんなところにダムを作ろうとするなよ!ということだった。
ヘタレなわたしからすると、そもそも冒頭の雪山を登っている段階で、
こんな秘境に巨大建造物を建てるなんて無謀!諦めた方がいい!非合理!危険!と思う。
人が落下していくのを見たら100%無理。
しかも絶壁のあんな細い道を人が背負って大量の資材を運び込むなんて……
岩盤も人力で掘れなんて……正気とは思えない。
一般映画には珍しく、現場のシーンをだいぶ写していて、ここが白眉であろうと思うが、
その前にまず、どんな工事をどんな工法でやろうと思っているのか説明しておくれでないかい?
シールド工法以外であの長大なトンネルを掘ろうとするのがまず信じられないんだが。
理論的な部分を解説してくれないと、どう見ても盲滅法に掘っているようにしか見えん。
だって、天井の板?がぎしぎしいっている段階で、早晩崩れることは目に見えているでしょ!
しかしまあよく。映画を見てそう思うけど、実際はもっともっともっと大変だったんだろうなと思うよ。
もちろん映画はフィクション。ということを置いておいても、映画を作った時点では
成功したという結果はすでに出ているわけだから。
工事をしている間は、そもそも出来るのか?という根本的な疑問にまず立ち向かわなければならない。
出来て初めて、出来ると言える工事であって、出来るかどうか本当にわからなかったはずだ。
その間には人死にも出るし巨額の費用をかけるわけだし、
進むも地獄、引くも地獄なわけですよ。そのプレッシャーを考えると……
わたしのようなヘタレは、考えただけで有り得ないと思う。
主役の人がなかなかいい演技で、誰だろうこれ、と思いながら見ていたが、最後に三船敏郎と知って驚いた。
これが三船敏郎かい!イメージと全然違った。
わたしはたしか時代劇の何かを見た記憶があるのだが、その時は我が強い演技で好きじゃなかった。
こんな実直な、控えめな演技も出来るんだ。
石原裕次郎の映画は初。「太陽にほえろ!」のボス役、太ってブルドッグみたいな顔の頃しか知らないので、
ようやく人気があった頃の作品を見た。それでもそのかっこよさはよくわからないが……
演技も上手いの?上手くないんじゃないかなあ。
でも当時の演技と現在の演技はおそらく方法論が違うんだろうし、同じ土俵で見るもんじゃないんだろうとは思う。
しかし大変でしたでしょうねえぇぇぇぇ。役者の皆さん。特にエキストラの皆さん。
暗い狭い(多分暑いか寒い)なかで水に追いまくられてずっと撮影を続けるのは。
CG技術なんかない当時、あの水流で流れる材木?資材?あれを撮るからね。危険だよねぇぇぇ。
よくもまあ……。蛮勇。と思った。
話に、例によってツッコミをいれようかと考えたが、考えてみればツッコムべきところはあまりなかった。
話は色々あれどもまあまあ。
だが一転、これはドン引きというのは裕次郎のお父さんですな。
当時の暴力描写と現在の暴力描写はだいぶ乖離しているだろうし、そもそもわたしは暴力描写に嫌悪感強いので
思うのだが、あれでは狂犬である。わたしは相当引いた。
あんなお父さんがいる息子に、娘を嫁にやる気はしないなあ。たとえ本人がどれだけ良くても。
まあでも3時間16分の映画、ちゃんと見られたんだから面白かったんだろう。
工事の再現部分が肝。もっとプロジェクトX風な感動を求めたかったが、当時は映画でそういうことを
表現するという発想はおそらくない気がするし、今の内容でもだいぶ現場寄りの方でしょう。
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紅白で中島みゆきが珍しく出たのは知っていたが、なんで黒部ダムから中継?と長年疑問に思っていた。
なるほど、プロジェクトX繋がりだったのねー。納得。
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