途中までは面白かったんだけど、最終回とラス前の2回は話がとっちらかっていると感じた。
現実においては、こういうとっちらかりぶりもむしろありそうな気はしますけどね。
でもドラマでそれをそのまま見せられてもなあと思う。やっぱり創作物なんだから、
なんらかの素材の加工は必要なんじゃないですか。
8話まではドラマとして良かったけどなー。
特に8話のキムラ緑子さんと天海祐希の怒鳴り合いなんて、久々に役者のがっぷり四つを見た気がした。
龍虎図というか、コブラ対マングースというか……
実際に見てる時には滂沱の涙でそれどころじゃなかったが。
そしてその直後に、坂井真紀に素で噴き出させられて不覚。
いいもん見ましたよ。
まあ、あそこで母が放火心中という衝撃の事実を知ったら、叔母さんの叔母心とかに感動している余裕はないと
思われるがね。ここは話に無理を感じた。しかしこの場にいる4人はそれぞれとても芸達者な人たちなので、
(個性はこれでもか!というほどに違うけれども)
話の無理は無理として、役者の演技でうまく連れて行かれてしまう。アリガタイことです。
しかし9話、10話はどうなのか。
超治が保くんとつきあってるのはいいとしよう。むしろ自然な流れだ。
(ハワイで月虹の下出会ったというのは超不自然だけれども)
でもヒロがしおりさんと同棲というのはなあ。それは無理だろう。
やっぱり同性愛と異性愛の間には相当大きな線引きがあるもんと違うかね?
両性愛の人もいるんだろうから、人によっては線引きがない場合もあるだろうが、
多数派は基本的にはどちらかですよね。そこは変えようと思ってもそう簡単に変えられないのではないか。
同棲してても肉体関係がないのならわからないではないけれども。
しかし片方がレズビアンで肉体関係なしの同棲というのはやはり無理があるのではないかと想像する。
それを言うなら、超治とヒロの組み合わせも同じことが言える。
結果的に肉体関係がない夫婦はごまんといて、それで円満な場合もいくらもあるだろうが、
あのカップルの場合はヒロの方が辛すぎるのではないだろうか。
そういう葛藤をほぼ描かずに時間が来たから終ります、みたいなドラマの作り方。
はっきりいって9話10話は混乱もしているし、適当だし、雑だと感じましたね。
というわけで、話の終盤は評価出来ない。
しかし役者は良かった。
わたしは天海祐希の性格が好きで、紀行番組とかは欠かさず見るが、ドラマは正直言って食指が動くものがなかった。
なので主役を張ったドラマを見るのは初。
沢村一樹も好きだしね。この2人でドラマをやると知った時はけっこう嬉しかった。
話があれだけとっちらかっても基本的にドラマに好印象が残ったのだから、役者たちはお手柄です。
キムラ緑子さんが最高。ちょっと前に「駆込み女と駆出し男」で見た時とは雰囲気がガラッと変わって。
正直、今までそれほど気にしてなかった女優さんだが、大好きになりました。
佐藤二朗は何やってもオモシロイ。いつも同じ芸風だが。まあそれはそれでいいのではないか。
坂井真紀は近年、癖のある役ばかりになってきた感があるが、それが出来るのは力量でしょう。
内田有紀が化けましたかね。わたしが知らなかっただけでだいぶ前から化けてたんでしょうか。
しかし「軍師官兵衛」の濃姫では今一つだったので、今回は役柄に合ったってことでしょうか。
一途で若干危うい役柄を大きい目を潤ませて熱演。目が潤んでいるのは実はポイント高かったと思う。
熱っぽい愛情を感じた。
ただ他のドラマでいつもいつも目を潤ませていたらいいかというとそうではない。
子役の井上何某はにらみ顔をさせたら天下一品でしたね!泣き顔も笑顔も可愛かった。上手かった。
しかし残念ながらわたしはこういう読めない名前は好きではない。
今回Wikiを見て初めて知ったのだが、保くんって工藤公康の息子ですか!ええっ!
言われてみればちょっと似てるかなあ。好青年をいい感じで演じてました。
印象が良かったので今後もがんばれと思う。しかしこの名前も女性にしか見えないので好きではない。
わたしは誰でもが一度で読めて、性別がはっきりわかる名前が好きだ。
エンドクレジットだけで見た時に、わたしは工藤阿須加っててっきり子役の名前だと思い込んでましたもの。
富司純子は基本そんなに好きではないのだが、今回のコメディエンヌぶりは見事。
柴本幸は、女優としての出始めは特別扱いだった気がする。微妙な気がした覚えがある。
今回の役は地味だが、特別扱いよりはこういうところから地道に実績を積み上げていって欲しい。
田中要次は、役柄にどハマリ。気弱さとキモさと善良さの絶妙なミックス。
ありがとう、役者さんたち。
あとはねー。生活感あふれる超治の家のセットがウマい。普通の家ってああいうぎっしり感ありますよね。
乱雑とオシャレのぎりぎりのバランス。いや、まあちょっと乱雑に傾いてるかな。
一話に一つ、本にちなんだことが出てくるのもウマい。
ゴーギャンの何だかっていう絵のタイトルは、内容は忘れたけど「おお」と思った。
えーと「あなたはいつ結婚するんですか」ですか。そんな感じでしたよね。
ヒロが司書というのも、超治が幼稚園の人だというのもウマいと思った。
てっきり主役の顔ぶれからして、商社の社内結婚とかカッコイイそういう方向だと思っていたから。
そういうのって昭和のバブルのノリですか。
物語としての厚みが出ますよね。彼らの職業が上手く話に活きていたし。
ただ、ヒロが読む本がみんな押しなべて名作なのが少々疑問。
再読という設定にしても。まあそこまで重箱の隅をつついても仕方がないのでござります。
8話までの話なら相当いいドラマ。わたしの中では9話10話はなかったことにする。
Huluにて視聴。
(配信番組は随時変更があります)
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