PR

< ジヌよさらば ~かむろば村へ~ >

このタイトルはどうかな。少なくともわたしに対しては失敗だった。
銭の方言としてジヌ。しかしぱっと見てそう理解出来る宣伝になってないから、
何度もタイトルは目にしてたのに、わたしは全然反応してなかった。
タイトルだけだと単に農村物語のいい話に見えるもの。
ジヌというのはわからないけど、犬とか動物の固有名詞かと。

だがふと目をとめると松尾スズキ監督で阿部サダヲ主演じゃないですか!?
これは……見ないと。片桐はいり、荒川良々、西田敏行もそそる顔ぶれ。

※※※※※※※※※※※※

でも映画館に行ってびっくりしたね!なんだこの高齢者率は!
実際のところは映画終了後の撤収時に気付いたのだが、高齢者率が異常に多い。
高齢者率80パーセント以上(推定)!しかも後期高齢者率70パーセント以上(推定)!
間違っても高齢者が愛好するジャンルの映画ではないと思うのだが……
しかし上映中の反応は良く、彼らの大笑いがけっこう聞こえていた。

そう。意外にシュールな映画ではなかったの。むしろ穏当な。
まぶす程度にバイオレンスとお色気はあったが、大部分は牧歌的な絵柄。
ロケ地が福島県の柳津町だそうで、街並み的には銀行も病院も郵便局くらいはあってもいいだろうと思ったが、
超田舎の設定。
そういうところだろうか。高齢者を招きよせた理由は。

けっこう素直に笑えたので楽しかった。少し構えていったんだけどね、松尾スズキで映画。
ちょっととんがった感じ?と。
でも力みもなく普通に楽しめた。わたしはやっぱり、普通に楽しめる映画がありがたいなあ。

松田龍平はだいたいにおいていつもと同じ役柄。ぼーっとして気が弱いんだか強いんだかわからない感じで、
映画だから我慢できるようなものの、実生活上でそばにいたら絶対イライラするタイプ。
まあこの人はね。こういう方向で行くんだろうね。
「アヒルと鴨のコインロッカー」で初めて見た時は、もっとふてぶてしい人物像だと思ったが。

阿部サダヲは、すごく太った!と思ったら詰め物をしていたそうで。
「舞妓」とかの時と比べて、無理にテンションを上げてる感がない、自然な役柄でした。
自然……?まあけっこう暴力的なんだけど、基本的には優しい。

この話もキャスティングが見事だったな。いつもキャスティングが見事な三谷作品よりも、
浮世の義理的なチョイ役がない分(この浮世の義理的なチョイ役も三谷作品の旨味ではありますが)
より一層見事だったかも。役者は全部良い。
片桐はいりなんか完璧におばさんになっていて、こないだの「小野寺の姉、小野寺の弟」と比べると
全然違う。役者さん。

あ!三谷幸喜の使われた方が秀逸!
本人は出てこないのよ。でも色紙があったり、ポスターが出てきたり。このポスターもただ映るだけじゃなくて
けっこうネタに組み込まれてますからね。松尾スズキと三谷幸喜って仲良いの?意外。
面白い使われ方だった。

エンディング、その一歩手前のクライマックスの話はどうかなあ、と思ったけど。
100万円を燃やすなら、どう考えても村に寄付だよなあ……。
寄付しても映画にはなりませんが。
そして所帯を持つならやっぱり無一文ではなあ……。
こんなことを言ってると映画にはなりませんが。

面白かったです。久々過不足なく面白い。

パンフレットは850円と高めだけれど、読むところがいっぱいで写真も多くて割高感はない。
最近は面白かった映画に限ってパンフレットを買うようにしているので、
(前はつまらなかった映画以外はパンフレットを買っていた)
久々に買ったパンフレット。ブログを遡ってみると、一定ライン以上に面白かった映画は
……去年の6月の「超高速!参勤交代」以来か?
あんまり映画も見てませんね。食指が動くものがなくてなあ。
まあ4月5月は珍しく4本くらい見たいのがあるんだが。

コメント