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< はやぶさ/HAYABUSA >(テレビ視聴)

3つの“はやぶさ”物のうちの1つ。

こないだ「おかえり、はやぶさ」をテレビで見た。
それと比較すればこっちが勝ち。なかなか面白かった。

けっこうこっちは金をかけてる。見てて嫌味じゃない程度に。
宇宙のCGがかなりきれいだったねー。こういうのをちゃんと作って見せてくれると作品世界に入り込める。
構図とかに工夫を感じた。美しい画柄だった。

20世紀FOXって邦画も作るの?そうなの?
なんかよくわからないなあ。

全てにおいて比較することになるけど、話もこっちのが勝ち。
向こうは正直、何をしたいんだかよくわからなかった。はやぶさについて書きたいのか、
はやぶさをとりまく人間関係について書きたいのか、はやぶさと関係ない平々凡々たるドラマを書きたいのか。

こっちは、……うーん、話として特に名作ではないとは思うが、とにかくはやぶさのことをちゃんと書いてあった。
はやぶさプロジェクトの苦労を。時間もないこととて多分100分の1くらいに圧縮してだろうが。
でも漁業組合のエライさんの接待とか話しあいとか、文科省のお役人との折衝とか、
映像で見せてもらわないとなかなか実感出来ない部分。

実際あったことかどうかはおいておいても、漁協との説明の時にはやぶさの模型を持って部屋を走り回る
太ったおっさん(←西田敏行)と年齢不詳の女(←市川実日子)は妙にインパクトがありました。
わたしが説得される方だったら、ついうっかり説得されたな、きっと。

日本では絶滅危惧種の飲みにケーションも表面には表れないけど、実際は生存数は相当なものに
のぼるんだろうしな。
スケジュール押せ押せで、「こんなことしてる場合じゃないのに」と思いながら
酒の席に連なってるのはキビシかろう……。時間と体力がたっぷりある時なら付き合い飲みも負担ではないけど、
ただでさえいっぱいいっぱいの時に。

映画を見てて、誰が何を(どこを)やってるのかというのは、それほど印象には残らなかった部分なのだが
(高島政宏がどのようにはやぶさに関わったのか、今に至ってもわからない)
でもそこはわからなくてもあまり支障は感じなかったな。
大勢いる役者、それぞれがそれぞれのパートでがんばってるんだというのさえわかれば。

はやぶさの成功という大目標は同じでも、それが具体的にどういうことなのかというと、
それは立場によって千差万別。ひとりひとり、個別の成功があるのかもしれない。
利害も相反する。それをまとめた川口淳一郎さんはやはりえらいと思う。

鶴見辰吾の隠し玉、もっと芝居っ気たっぷりにやって欲しかったよ。
芝居を芝居っ気たっぷりにやったら鼻につくかもしれないが、せっかくあそこ美味しいとこなのに。

とてもささやかなことだけれど、前半部でずっとコンスタントにエンターキーを押し続けてる役柄の人が、
「はい、送信しました~」と明るく言っていて。普通はもう少し平板に言うんじゃないか?という違和感はあれども、
実生活でこういうの大事、としみじみ思ってた。
声のトーン一つで気持ちが変わるもんですよ。本当に現場に、あんな明るい言い方をする人がいて、
それを忠実に再現したのだとしたら、そしたらわたしはこの作品を尊敬する。
明るい言い方をしたその本人と、その輝きを掬い取った製作者のその細やかさ、双方に。

佐野史郎は、相当川口淳一郎さんに似せてましたね。そもそもキャスティングの時に、
似た役者を持って来たとしか思えない。ただ佐野史郎、顔とかの雰囲気は似てるんだけど、
何しろ数々の変な役を怪演してきた人だから、そういう意味で素直にいい人と見ることは難しかったですよ。
西田敏行も雰囲気出してましたね。この人はいつも通り。

良い顔ぶれを揃えた。
役不足ではないかと思った役柄は筧俊夫、生瀬勝久。この辺贅沢だな。
木野花が竹内結子のお母さん役で出てきた時は嬉しかった。好きなので。

竹内結子、同じタイプをやっているイメージで、好きな女優ではなかったが、
今回のオタクな役柄はけっこう面白かった。出来れば理学博士になってからもオタク風味は残して欲しかった。
急にキリッとした出来る女になっちゃって。そういうのつまらない。

ドキュメンタリーは、時々再放送をするとは言え、けっこう意志を強く持たないと再視聴はなかなか出来ない。
でも映画は見たくなったらレンタル屋さんで簡単に借りられる。
はやぶさを見たいな、というキモチになった時に見られる映画になったのは大変重畳。なかなかでした。

さて、残るは「はやぶさ 遥かなる帰還」だ。いつかテレビでやってくれるだろうか。

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ちょいと見かけたのでついでに貼っておく。
わたしは読んでないけど、これはきっと面白いと思う。

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