名高い「ギルバート・グレイプ」。
デップは好きだし、ディカプリオの演技も相当らしいし、いつかは見ようかと思っていた。
……だが、どーも雰囲気的に、わたしが全く苦手な映画っぽいんですよね。
まあ多分駄目だろう。でも一応見てみよう。
……そしたらやはりとてもダメな映画でした。
こういう、見ていてツラくなる映画はすごくヤなんですよ。
こんな閉塞状況は……現実にいくらでもあるじゃないですか。わざわざその追体験をする必要があるのか。
最後の最後、ほのかに希望を見せて終わるとはいえ、後味のいい映画とはいいかねる。
わたしは後味の悪い映画はキライだ。現実を忘れさせてくれる、明るく・楽しい・幸せな映画が好き。
閉塞状況の描き方は丁寧で上手かった。
なので、駄作とは全然思わないが、そういうところが上手くても却って見ててツラくなるばっかり。
でもディカプリオの演技はスゴかったですね!!ほんとスゴイ。
19歳であれだけ出来るのなら……末恐ろしい俳優になると思われたが。
わたしは「ロミオ+ジュリエット」「仮面の男」を多分テレビで、
「タイタニック」と「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」「シャッター・アイランド」を
劇場で見たが、どーもいまいち……。彼のビターなテイストが合わないんだと思う。
もう少し甘さがあればと思うね。スイートというよりもアソビという意味で。しかしどちらも含んで。
彼はハンサムなのがマイナスに働いたのかもしれないなあ。
演技力があるんだから、巨額映画の主役じゃなくて、脇の個性的な役柄をやっていた方が
本人も楽しかっただろう。「タイタニック」なんて……甘いマスクさえあれば、誰でも出来そうな役だった。
もっと繊細な、屈折した、難しい役柄をやってたら幸せだったんじゃないかなあ。
でも人気出るとギャラも跳ね上がるだろうし、「タイタニック」の後には、
もうある程度の大作しか声はかからなかったろう。
デップは贔屓。安定の演技力。彼はジャック船長さえ立派にキャラクターを創作出来る人なので、
どんな役をやっても旨味がある。
……とは言っても、わたしが彼の映画を多分20本位見た中で(テレビも劇場も含めて)、
好きと言える映画とむしろ嫌いな映画とはだいたい半々くらいですけどね。
今回の映画では、ベッキーに魅力を感じられなかったのも大きいかな。
ベッキーがギルバートを救えるとは思えないんだよね。
最後、ベッキーのキャンピングカーで一緒に旅立つとしても、突然の赤の他人との共同生活、
おばあさんもいて、しかもアーニーを連れて、なんて……あっという間の破綻しか見えない。
ベッキーの役者さんは八千草薫を若くしたような感じだと思った。
なので、顔的には好きなのだが、キャラクターが食い足りない。
あんなフワフワした生活はそうは続かんよ、と言いたくなる。
お母さんを殺さなくても良かったんじゃないかなあ。
階段を上って、せっかくうっすらと光明が見えたんだから、もうそのまま立ち直って欲しかった。
そうしてくれれば少しは後味が良かった。それを死体を家ごと焼いてしまうなんて……
犯罪でしょう。当時のアメリカでも。
家財道具を運び出してるんだから、失火でしたと言えるわけないし。
いや、実は、「そんなに運び出すのが大変なら家ごと火葬した方が簡単だろう」と内心ツッコんでいたのだが、
まさか本当にそうするとは……。
子供たちがあまりにもきちんとしすぎていて哀しかった。
見ててツライ映画でした。
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