読んでいくに従って、森見登美彦を読んでいるんだか、万城目学を読んでいるんだかわからなくなった。
京大生が主人公のヘンな話。という意味では両者はとても近い。
まあ、わたしは森見登美彦が贔屓ですけどね。
タイトルの「ホルモー」、一体なんのことだろうと長年の疑問だった……。
(ちなみに「のだめカンタービレ」の「のだめ」も何のことだろうと長年疑問だった)
なるほど、こういうことですか。しかし好きですねえ、この人は、こういうの。
自分の作品世界を微細に作るのが。
……その世界創造の楽しみは十分に理解できるけれども、
それは例えば、読者をドラゴンクエストをやっている人の横で見ているだけの人、にしてしまう気がする。
個人的には、あんなに長いRPGになると、むしろ横で時々見ているだけの方が
(飽きずに)楽しい気もするのだけれど、
小説の理想を異世界への没入とするならば、つい鳥瞰視点に立ってしまうこの小説は多少物足りない。
作者の愉快さは伝わって来るが、それをわが物とするには……少々細かすぎる。
細かすぎると、粗がどうしても出て来るんですよね。粗とは言えないまでも、
自分から見て妥当と思えない部分。
この話でいうなら、17条ホルモーの部分にだいぶ無理くり感が……。
こういうところでふと我に返る危険がある。
わたしは主人公と一緒に喜楽を味わう読み方が好きなので。
ずっと最後まで没入出来る小説が最高峰。
でもまあ面白いは面白いんですけどね。
ホルモーは、これは映像で見たい……と思ったら、これ映画になってるんですね!
顔ぶれもけっこう良さそうだし、これは見たいなあ。近々どこかのテレビで放送してくれませんかね。
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