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◇ ランドル・ギャレット「魔術師が多すぎる」「魔術師を探せ!」

久々、地味に面白かった作品。あくまでも地味にだけど。

わりと昔の作品だけどね。昔のアメリカミステリというよりは、
昔の(まだライトノベルという言い方が無かった時代の)ライトノベルという感じ。
ミステリはミステリだが、検証部分がちょっと細かくて適当に流し読みだった。

何が面白かったかといって、その世界設定が。
書いてる方もこの辺を書くのが一番楽しかったんだろうなと感じる。
魔法が厳然としてある世界、だが魔法以外の法律も科学もそれなりにちゃんとしており、
魔法もけっこう免許とか許可とかかなり明確にルール化されてる。

証拠を集めるのに魔法が活躍する。情報量が増えるという意味で。
でも魔法があるだけに、魔法で物理的に物を動かすとか人を操るとか、いろいろ可能性も増えて、
結局のところ捜査が楽になるばっかりではない。

アメリカの作家が書いたんだけど、イギリスのパラレルワールド。
ヘンリ―2世あたりからの歴史がパラレルワールドになっていて、
今でも王様が(イギリスとフランスの併合王国になって)いたり、
この場合の敵国はなぜかポーランド、新大陸は新大陸で現実とは微妙に異なっており、
アステカ王国系の王国が脇役で出ていたり……

もちろん英仏連合王国の王様も出てきますよ。
そもそも探偵役がダーシー卿(中級貴族らしい)だし。この人が捜査官。

そんなに詳しくは書かれないが、英仏連合王国は敵国ポーランドとスパイ合戦をやってたりする。
何でこの人がポーランドを仮想敵国として選んだのか疑問。作中では、わりと強力な国になっている。
まああまりポーランドのことは書かないので、どこでもいいっつっちゃ良かったんだろうけどね。

もう何作かは読みたかったなあ。2作の他に短編がいくつかあるらしいんだけど翻訳されてないそうだ。
原作を追うほどの執着はないが……目の前にあったら読んでみるかもしれん。

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