これは古田敦也が引退してしばらくしてブログをやり始めて、
その中でオススメされていたものなんだよなあ……。
その時に課題図書リストに入れて、6、7年経ってようやく読む順番が回って来た。
多分生きてるうちに現時点での課題図書リストの本を制覇することは出来ないだろう。
予想よりもずいぶん落ち着いた書きぶりでした。
題材が題材だけに、もっとサスペンスフルな書き方なのではないかと思っていた。
……だが正直、もう少しサスペンスフルでも良かったかもしれない。あまり煽っても嫌味だけどさ。
有体に言えば、書き方がちょっと地味すぎていまひとつ。
グリコ・森永事件は、当時はそれなりの興味を持って見ていた気がするんだけど、
今となればすっかり記憶は薄れている。なので、事件を思い出すという意味では面白かった。
だが、多分当時ほぼ地元民である古田さんの事件についての関心と、
舞台から遠く離れたわたしの視点での関心とではだいぶ温度差があるからなー。
しかし掛け値なしに面白いと感じた部分があって、それは、犯人が書いた文章。
これを改めてまとめて読むと、それはもう大変に面白い。フィクショナルな面白さ。
文章自体が創作物。サスペンスとして名文。
そしてこの事件を犯人がプロデュースしたと考えると、優れた創作家と言っても良い。
実社会において関係者は多大な迷惑を蒙っただろうし、当事者の苦悩は深かっただろうし、
一般消費者も不便を感じただろう。税金を大量投入して、警官が大動員されたんだし。
なので、あまり能天気な感想を述べるのも不道徳かとは思うが、
だが事件から長い時間を隔てた遠い観客の感想としては、「面白い事件だった」と思う。
その「面白い事件」の概要を思い出させてくれた本。
グリコ・森永事件「最終報告」 真犯人 (朝日文庫)
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森下 香枝
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