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< ユー・ガット・メール >(DVD視聴)

けっこう有名な映画だと思うが、今回初めて見た。
いや、どうもこのタイトルって、わたしにはサスペンスっぽく見えてしまうのよ。
なのでコワイ映画なんじゃないかなーと。恋愛ものだっていうのは聞いてたんだけど。
しかし今タイプ打ちしてて思ったが、「ユー・ガット・メール」、カタカナで書いて間にナカグロというのは
なんか締まらないことこの上ないなあ。しかもガットだし。

タイトルって難しいですよね。上手い邦題をつけられたらそれが最上だと思うが、
最近は原題の縛りが多いらしいし。まあ「アウト・オブ・アフリカ」を「愛と哀しみの果て」と
訳されたらちゃぶ台をひっくり返したくもなりますが。
原題主義は一長一短。「ペイ・フォワード」もタイトルわけわかんなくて、全然視野に入って来なかったし。
単語はいいとして、英文をタイトルにするのは日本では良くないと思う。

なかなか面白かったです。こういう王道のラブコメは好きだ。

ただ、話としては色々疑問に思う。
まず、赤いバラを持った待ち合わせ場所でトム・ハンクスが正体を知らせないのは……
卑怯じゃないんだろうか。最終的に正体の方を好きになって、その後にばらせば結果オーライ?
戦略的には間違ってないってことか?
でもすっぽかされたその時点では、メグ・ライアンは相当傷つくよなあ。かわいそう。
その後、メールのやりとりが断絶してもおかしくない。

最終盤、正体がばれた時点で、メデタシメデタシといくもんかな。
「なんで黙ってたの!」と怒りがこみ上げる方が先に来る気もするんだけど。
だって信頼して色々喋ってたのにさー。それが何と本人って。
でも惚れてしまえば何でもいいのか。そういう柔軟性が人生には必要なのか。

風邪をひいている女の一人暮らしの家に押しいる男って普通に考えてヤバイですよね。
通報されても文句は言えないレベル。
映画製作当時はそれほどでもなかったのか?今なら犯罪描写ですよ。

重い風邪の筈のメグ・ライアンがいつもと同じ小奇麗なお姉さんだったのもちょっとどうかと。
病人なら、もっとへばっている筈でしょう。

あとはそもそも、双方に付き合っている彼氏彼女がいて、ネット恋愛を始めて、という話自体、
若干ヤレヤレな感じ。でもこの辺はけっこう爽やかに処理してましたよね。
彼氏彼女との別れ方も、――実生活ではそんな簡単にいかないやろ、とは思うけど、
あっさりした描写でここは良かった。

この映画の何が良かったって、ニューヨークの描写が素敵だった。
メグ・ライアンの部屋がまず素敵。こういうセンスの部屋に住みたい気がした。
トム・ハンクスが子供たちを連れて行く縁日?も楽しそうだった。ああいう場所には行ったことないな。
行ってみたくなった。
ザ・ニューヨーク!というかっこつけた場所ではなく、ちょっとだけおしゃれな街角ってのがいい。

店の同僚たちが良かったな。若い男女の方は今一歩がんばればさらに話が良くなったのにとは思うが。
バーディがとても素敵だった!「ちょっと待ってね、お母さんに訊いてみる」のシーンなんて大好き。
でも、このあたり、イギリス物ならさらに上手く描く。と思っていた。
「お母さんに訊いてみる」のあとのメグ・ライアンの反応の薄さとかさ。
もうちっと描いてもいいところだろう。

初メグ・ライアン。
わりと前は名前を聞いた女優だと思うが、最近聞きませんね。
今回のこの役柄はとても可愛らしく見えた。好感が持てる。
ただ、ラブコメではどれもこれも似たキャラクターになりそうに見える。どうでしょうか。

トム・ハンクスは他に4、5作見たかな。達者な役者だが、そんなに好きではない。
何しろ「チャーリー・ウィルソンズ・ウォー」の印象が悪すぎた。映画として悪すぎたのだが、
こんな映画に出るトム・ハンクスもジュリア・ロバーツも同罪だ。

しかしまあ、粗はあれども、ニューヨークの描写の良さとハッピーエンドに免じてユルす。
原作ではバッド・エンドだそうなので……。一般に、原作と全く結末を変えてしまうなんてことは、
原作ファンからすれば最悪の所業だが、この話でバッド・エンドにしても誰も喜ばない。と思う。

……そうは思うが、本についての考え方が相当に違う男女、今後うまくいきますかね?
男が女の本の考え方に感化されて、FOX書店がもっと味のある書店に生まれ変わって行くという
描写はあまりない。(唯一、児童書コーナーの販売員の努力に言及されてるくらい)
単なる嗜好品どまりなら別、お互いにとっての仕事となると。
人生観の問題になってくるんじゃないかな。どう?

たかが本。されど本。

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