人生初の3D映画はこの映画であった。
いや精確に言えば、人生初の3D映画画像は、この映画前の「レゴ・ムービー」の予告であった。
……レゴは3Dで見なくてもいいなあ。
それを言えば、「ホビット」もわたしは3Dでなくても別に良かった。2Dで見たかったがなかった。
まあ3D向きの作品ではあると思いますよ、大いに。
だがわたしはメガネをかけているのでね。メガネ・オン・メガネだとあの3Dメガネは
大変に重いし、首が疲れる。前の方の席で見ることが好きなので、絵と字幕に交互に
目の焦点を合わせるのが大変。そんなストレスなく見た方が総合的に楽。
なので、半分以上はメガネは外して見ました。そうなると400円だか高い値段を払う意味が感じられない。
そもそもメガネ外すとそれはそれで見にくいし。
たしかに臨場感はあって、面白かったですけどね。特に最後の竜と戦うシーンはとてもちゃんとした
3Dになっていて見ごたえがあった。あれ、3Dのレベルにも段階があるんですかね?
ほんとに3Dに見えるデータ処理の仕方と、紙人形を切り抜いて遠近をつけたレベルの3Dと。
紙人形レベルの3Dシーンは普通に多かったなあ。まあそれほど目くじらたてませんが。
わたしは原作の「ホビット」を読んでないので原作との乖離という意味における不満はない。
が、映画としてはもう少しストーリーがあるものの方が好き。
あんまり戦闘シーンが好きなタイプじゃないんだよねー。
まあこの映画、戦闘シーンが好きじゃないわたしでも満足出来るような見事な戦闘シーンの連続で、
“迫力ある戦闘シーンを見に行く”というのが最も正しいスタンスであるような映画だが、
……うーん。もっと話部分があった方が好き。
なので、タウリエルさんパートが一番面白かったですね。
この映画の中のわずかな華やぎ。だって今回は奥方様も1カットしか出てこないし、
(しかもとってつけた1カット。でもこれはむしろお手柄の1カットと言いたいけどね)
登場人物はコキタナイおっさんだらけだし、タウリエルさんと王子が目の保養。
タウリエルさん、超強くてかっこよかったですね。お顔は……正直、歴代女性エルフと比較すると
もう一声、といいたいが。でも王子様より強い。性格も良さそうで、これはいい役ですよ。
王子様も10年経つのに相変わらずお綺麗で……
だが少し浮世の苦労が滲み出た顔つきになっていた。……というのはうがちすぎですか。
まあでもきれいですよ、オーランド・ブルーム。10年前の作品と比べて違和感がないというのはすごい。
イアン・マッケランとか、変わらないと言いたいけれどもやはりお年寄りになったもんねえ。
ああ!はいはい、ルーク・エヴァンズas湖の町のバルド、というのは
「三銃士」のアラミスでしたか!どこかで見たと思ってたんだ。いい感じの役者ですよね。
おっさんばかりのドワーフの中で、唯一イケメンのキーリ。
エイダン・ターナーという役者だそうです。
もしあの状況でタウリエルさんが恋に落ちててくれなかったら、追って来てはくれないわけだし、
そうすると医術を施してくれることもないわけだから、まことにイケメンは身を助く。
しかしメンで言っても、条件で言っても、環境で言ってもレゴラスの方が格段に……
それでも、まあ恋に落ちてもいいか、と思えるんだからやはり脚本の力量ですよ。
しかもあれしかない尺で。お母さんの話をしただけじゃん。でもその前にちょこちょこかすっているからこそ
それも納得出来るんですよね。えらいなー、脚本。
治療された後の夢うつつの告白も、ありがちなシチュエ―ションとはいえいい感じじゃないですか。
……「軍師官兵衛」の脚本家は爪の垢を(以下略)
だが脚本的になんだかなあ、と思っているのは、ここぞというところのトーリンのヘタレぶりですね。
前回の「おもいがけない冒険」でも思ったが、なんか妙に……ヒーローじゃないんだなあ。
今回だって、ビルボを一人宝物庫に追いやっている場合ではないと思うのだが……
オーケン石は、そりゃ見ればわかるのかもしれないけど、効率を考えればみんなで探さないと
見つからないと思われる。なにしろたった一個の石なんだからさ。
普通はみんなで、せめて宝物庫の入口くらいまでは行くよねえ。
ドワーフたちはみんなで行こうとして、ビルボが自分一人で行く、と言い出す流れでも良かった。
トーリンはごくストレートなヒーローじゃないんですかね?
弱さと強さを併せ持つ複雑なキャラクターにしたいんなら、
もう少しトーリンに寄りそって描く必要がある気がする。いかにも超然として見えるからね。
トーリンは扉が見つからない時の諦めが良すぎだろう!鍵を捨てて行ってる場合じゃないだろう!
何が起こるかわからないんだから、せめて大事に持っていけよ!
わたしは、別にあそこでドワーフたちを扉の前から去らせる必要はなかったんじゃないかと思うわー。
みんなが意気消沈し、ビルボが「わかった!」じゃ駄目だったかね?
まあそれだとそのまんま、「旅の仲間」ですかね。でも他の部分でも既視感満載なんだから、
そんなに気にしなくって良かったじゃんねー。
スマウグは……声をベネディクト・カンバーバッチがやるというのは聞いた覚えがあったけど、
モーションキャプチャーもやったんですか!つまり、四つん這いになってのそのそと。
いやー、イメージ浮かばんわー。
なにしろ竜ですからねえ……。アンディ・サーキスasゴラムには役者の演技力を感じられても、
スマウグにカンバーバッチの演技力を感じることはなかなか出来ない。
でもたしかに竜は良かったですよ。人間らしくて。……あまりにも人間らしくて、利口そうで、
こいつなら話せばわかるんじゃないかなと思わせてしまうほどだった。これは吉凶どちらか。
宝物庫のシーンは良かった。あんなお宝の山は全く想像してなかった。
たかがCGとはいえ、スケール的に思いもよらない映像を見せられて、口を開けました。
そうですか、あれが全部金貨やら宝石やら宝飾品やらですか。
映画を見ながら、「こんなにあるなら、少しわたしにも分けて下さい……」と思っていた。
ドワーフってやっぱり強欲なんですねえ。
シーンで良かったところといえば、なんといっても樽の戦いのシーンですよ。
あれは戦闘シーン嫌いなわたしでも十分に楽しめた。いやいや、無理やろ!ってところは
たくさんあるんだけど、あのスピード感で見せてくれると、細かいことはもういいと思う。
あそこだけもう一回見たいな。そのためにもう一度映画館で見る根性はないけどさ。
3時間は長かったけど、おおむねずっと楽しめました。時々飽きたが。
だが、あの終わり方はねえ……。
わたしは話部分を見たいので、「ああ、これで第3部の前半は、みっちり湖の町の攻防戦かあ」と
思うと(つまり戦闘シーン)がっかりしました。攻防戦の結末はもうわかってるんだから、
わたしはそこまでをもう第2部で終わらせて欲しかったですけどね。
……っていうか、湖の町に向かう前にドワーフたちに止めを刺せよ、スマウグ!
なお、通常通りパンフレットも買ったけど、このパンフレットは、
……なんだか妙につまらなかった。ふつふつと湧いてくるつまらなさ。
役者のプロフィールで出演作を並べているだけじゃ全然読む気にならないし、
そもそもあの文字組みであのスペースだとけっこう読みにくいぞ。
いつもなら楽しく読むプロダクションノートも、なんだか妙に読んでてイライラする。
アベレージの良さというのはアベレージだけに気付きにくいが、やっぱりあるもんなんですね。
今回のパンフレットの担当者は精進が必要。
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