PR

< 幻影師アイゼンハイム (テレビ視聴)>

ずっと前にテレビでやっていたのをようやく昨日見た。
こじんまりと作られた、辛気臭い映画だと予想して、面白くなかったら速攻中断するつもりでいたが、
実際見るとこれがけっこう面白かった。映像がきれいだったし、わたしの好きな西洋コスチューム物だしね。

原作のスティーブン・ミルハウザーは10年弱前に図書館にある本は一通り読んだ。
……のだが、内容は愚かタイトルも全く覚えてないやー。
まあ短編集の中の1作だそうなので、あまり記憶に残ってないのは無理ない。
だが、ミルハウザーは、読んだ作品の半数は好きだった。もっともその他の半数は嫌いだが。
アメリカの作家って気がしない。ヨーロッパの埃をかぶっている気がする。
この映画だって、アメリカでロケなんか出来ないよね。そもそもウィーンが舞台なんだし。

チェコにもロケに使える場所がたくさんあっていいなあ。
はっきりここ!とわかったところはチェスキー・クルムロフのお城くらいなんだけど、
トロフィーが壁一面に飾ってある城はあったし、スグラファートの技法もちょくちょく見かけた。
いいねえ。ヨーロッパの建築は。美しいよ。その画面を見ているだけで心が落ち着く。

エドワード・ノートン、以前に好意を持って見た気がするのだが……
wikiを見てもわたしが見た役柄って……ああ、「キングダム・オブ・ヘブン」のボードゥアン4世。
あれはちょい役もいいとこだけど、けっこう美しい役柄だったんだ。美しくない、美しい役柄。
切なくて。

しかし偏見だが、アメリカ人の俳優がこんなヨーロッパくさい映画の主役を張れるとは……。
しかも監督もアメリカ人か!意外だ。こういう空気感はアメリカの人間には無理だと思っていた。
含蓄があっていいと思いましたよ。常に画面に美しさへの工夫があって見飽きない。
まあヨーロッパ建築が映っているだけで、わたしとしては評価1割増しですが。

ヒロインは、全体としては嫌いじゃないけど、笑った口元が庶民的だったのが大変残念だった。
物憂げな雰囲気とか良かったんだけどね。ラブシーンも色っぽかったし。
映画の冒頭では、てっきりいいのか悪いのかわからない蝙蝠的な役柄だろうと思った警部が、
わりと素直にいい人で拍子抜け&安心した。
「この人はいい人なのか悪い人なのかどっち?」とハラハラしないで見ていられたので良かった。

皇太子は、ほんとにイヤな奴だったので、テレビに向かってつっこみまくりだった。
「奇術は奇術として楽しめばいいねん!衆人環視の中、種を解明しようなんて何たる野暮な奴だ!」と。
視野が狭い人が権力を持っているとホント迷惑ですよね。

最後の最後は、わたしは素直に「ほほう」と思わされたので面白かった。
これをテンポ遅く見せられたら、現実的に考えて無理、という理性が働くんだろうが、
フラッシュバックで見せて行くので、あまり不満を感じない。
これはやっぱり映像的なテガラだと思う。

全く期待しないで見て、なかなかに面白い映画でした。録画見る前に消さなくて良かった。

幻影師 アイゼンハイム [DVD]
東宝 (2008-11-21)売り上げランキング: 26,772

コメント