たしかに前にも読んだ。
だが読んだとしても遥かなる昔だし、結局のところほとんど何もおぼえてなかったので今回も楽しめました。
推理小説の古典的名作。
何タイプ、というと話の流れが見えてしまうので控えるが、
捜査状況をつぶさに描写するタイプの小説。
振り返ってみると、総体的に辛気臭い地味な話ではあるが、
序盤の“樽”の鮮やかな謎の提示が印象的で、それで最後まで興味が続く。
バランスがいいと思います。
どっちかというと物語的要素やキャラクターなどの肉に比重を置きがちな読者であるわたしが、
こういう、骨がメインの話で十分楽しめたんだから。
探偵役は実に地味で……しかもリレー式に3人も変わる、というのは
キャラクタ―的に変える必要がなかったのではないかと若干疑問に思うが、
これで内容を反復するからこそ、この話でも飽きなかったのかもしれない。
それが小説作法の技として最初から狙ってやったことなら、相当ワザありなんだろう。
まあでも処女作だそうだから……そこまで計算はしてないかな。
細かい部分が続きますからね。
通常、こういう細かい話だと「だから何?」という気分になることもありがちだけど、
これは目の前の一つ一つをクリアに提示して、それを短いスパンで結果を出していくので、
わたしのような記憶力の悪い頭でも大丈夫。もうオボエテナイ、ということがない。
うん。バランスがいいです。最後も盛り上がって幕だし。
樽 (創元推理文庫 106-1)
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ただ、同じタイプのものがずっと続くと、多分退屈になるだろうと思う。
最初の、このバランスはビギナーズラックもあるにちがいない。
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