竹下節子の義理の弟さんがサウジアラビアに赴任していたらしい(執筆当時)。
それを奇貨として、なかなか入国が難しいサウジアラビアに短期間滞在し、
レポしたのがこの本。どのくらい滞在していたかは不明。
さすがに1週間2週間ではないと思うが……。3か月はいなかったんじゃないかな。
全く根拠はないけれども。
そういう程度の短期旅行者が書いたサウジアラビアのサワリである、ということを
認識しておかないと、「えー、そんな国だったの!?」という異質感を過剰に感じやすい。
竹下節子は頭のいい人だし、整然と書いているからうっかりするけど、基本は旅行者ですから。
逆を考えてみると実感出来ると思う。突然サウジアラビア人が日本に来て、
3ヶ月滞在した後、国に帰って「日本はこういう国!」という本を書いたとしても、
とても日本の底流に流れる精神までは……無理でしょう?
そういうことを心に置いた上で読むのであれば、大変面白い本でした。
実例(ひらったく言えば噂話から派生した実例)付きの“特異点”の紹介は
やはりインパクトがありわかりやすい。
読み手と書き手がそう離れていない視点なので、滞サウジアラビア何年という人や研究者が、
底流を得たかわりに失ってしまったものが読み手と同じ興味を持って新鮮に語られる。面白い。
何しろもう前書きから驚いてしまう。
サウジアラビア人は単純労働につかないなんて……どこのお伽の国の話かと思うよ。
入国が非常に難しいこと(単純に観光での入国はないそうだ)
女性は車の運転が出来ない、パスポートも夫のパスポートに併記。
航空会社も王室所有。
単純な感想は、21世紀ですよね?です。
当然本文にはさらに「あるのか、こんな国が……」ということがあれこれ書いてあるが、割愛。
読んで「へー」って言って下さい。
イスラム国にもいろいろあるんですねえ。
この本を読んでいたからこそ、こないだテレビで見たオマーンでは、
女性が目だけを出すスタイルながらも、香料店の店主として商売している姿に
サウジアラビアではあり得ない光景なんだろうと思いを馳せた。
うん。ちょっとインパクトだけに目を奪われてしまったな。わたしも。
イスラム国にも行ってみたいものだが……
おそらく一番敷居が低い国はトルコであろう。トルコは数年内に行きたいと思っている。
ただ、行きやすい=融通がきくだろうから、サウジアラビアほどのインパクトはないだろう。
まあ基本的にはイスラム美術・イスラム建築が目的ですからね。
そこまでカルチャーショックを求めているわけではないが。
コメント