(前編より)
延々書き連ねて来たが、この映画の価値は画柄だね。
相変わらずニュージーランドの壮大な自然は美しく。前作でもこの辺りで撮影しなかった?と
思うような部分も時々通り。美しい建築物の内部設計、小物の凝り具合、
衣装の……まあ今回は衣装といっても、何しろほとんどが放浪するドワーフなので、
うっとりするような服は少ないが、細部までの気遣い。
前作の経験が活きてるねー。鎖帷子はまた作ったのだろうか。鎖帷子を作った職人は
また指紋を失ったのだろうか。
エレボールの建物の中は、字幕を読む暇がもったいないほど最初からどかんと見せつけてくれました。
もっとゆっくり見せて欲しかった。ほんの数十秒、これだけを映すために、
一体どれだけの労力を使ったのか……。前作でも思ったけど、ほんとに凝るよね。
設定の説明もわりとちゃかちゃかと進み。潔く、ナレーションで説明したのは成功だと思う。
これを映像でゆっくり説明していたら、時間がいくらあっても足りんわ。
ドワーフの大宴会 at 袋小路屋敷も良かった。
というか、前半はビルボの気持ちになって、その理不尽さに非常にげんなりして見ていたのだが、
お皿の片づけが良かった。いや、割れるやろ。そして掃除はどうやったんだ。
まあイロイロ納得できないが、面白かったので良い。被害は食材だけで済んだ。
「霧ふり山脈の歌」も良かった。沁みるわー。
トロール3匹との戦いは、炙られてるところが面白かった。
あれは……地道に撮影したんですかね。役者も大変です。
出来ればもう少ししつこく、ビルボの機知的会話を続けて欲しかったかな。
ああ、懐かしきリベンデール。ああ、麗しき奥方様。(それさっきも言った。)
相変わらず美しい。建物のデザインはけっこう変わったよね。
テイストはそのままだけど、新たにデザインしなおしたよね?
やはり60年も経つとエルフの館もリフォームが必要ということか?
月光書見台のような、小さな美しいアイディアが盛り込まれてるのが好き。
その夜がたまたま、今月今夜のその月であるのはご都合主義が過ぎるというものだが。
剣のデザインも、みなそれぞれに美しいよね。練り上げた輝きがある。
正直、ラダガストの……髪の毛についた鳥の糞はやりすぎだと思った。
主にそれが原因で、今回初登場のラダガストに親愛の情は抱けなかった。
だがウサギソリはかっこええ。しかしあれ、ワーグとのチェイスからどうやって逃げ切ったかね?
(というか、逃げ切れるという成算はどうやって立てたかね?)
岩人間のプロレスは画として面白かったよー。
周囲の迷惑といったらこの上ないが。なんで喧嘩しているのか、彼らは何なのか、
全く説明しないところがクレバー。自然の(まさに)擬人化。
ゴブリンの地下世界は……すごかったんだけど、ここは少々オナカいっぱい。飽きた。
ここが唯一、CGっぽさがぬぐえなかった所だ。「王の帰還」における象部隊との戦闘シーン並み。
まあ、うじゃうじゃとしたマスの迫力を存分に作ったよね。
画としてすごかったのには異議はない。
そして、出た!ゴラム。(それもさっき言った。)
前のゴラムとあまり変わってないかな。でも可愛い方のゴラムの円らな瞳がさらに円ら。
あの目で見つめられたら、ついほだされちゃうよね。
なぞなぞ問答のシーンはゴラムの一挙手一投足に見入っていたような気がする。
あの表情と動きは人を惹きつけずにはおかない。
でも、クライマックスであるべきアゾグとの戦闘シーンは……70点くらいかねえ。
あんまり感心はしなかった。だって、あっという間に崖に追い詰められて、木に登って、
その木を将棋倒しにあっという間に倒されて。ちょっとコメディ入ってましたやん。
トーリンもそこまで見せ場がなかった。ビルボが主人公だから、トーリンをあまりにヒロイックにも
書きにくかったんだろうけど、ビルボは何しろヒーローじゃないんだから、
もうそこは遠慮せずにトーリンを力いっぱい描いても良かった気がするよ。
アラゴルン並みにかっこよく戦わせて力尽き、そこをビルボが救う、というんで良かった。
鷲さんに助けられるのも、まあ……しょうがないか。
鷲さんは、あんな高地に彼らを置き去りにして、親切なんだか意地悪なんだかわからない。
怪我人を抱えてあの切り立った山から下りて行くまで、どれほどの苦労をするかと思うと……
ついでだからはなれ山まで運んでやれよ、と思った。……それやると三部作、終わってしまいますが。
さて、今年の12月に第2作。そして来年の夏に第3作。
でも、話はもっと面白く作ってくれないとちょっとねえ。
特に第2作ね。一般的に言って、3部作で2作目は中だるみになるものだから。
これはピーター・ジャクソンと、フラン・ウォルシュとフィリパ・ボウエンのタッグに期待だな。
よろしくお願いします。
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