読んでて何度もトリハダが立った。コワくて。
(もっとも、読んだのは8月中旬にもかかわらず、最高気温が24℃の日だったが)
でもホラーというわけではない。ミステリっぽい雰囲気も漂うけど、ミステリではない。
しかし何でもないところがなんでこうコワイかね、この人は?
ホラーでもミステリでもなく、青春小説!です。
……まあ青春小説にしては相当に曲者ですけどね。青春小説がこういう曲者でいいのかね。
うーん。いやでもやっぱり青春小説だろう。
名門男子高校の歴史ある寮、冬休みに居残りする4人、とくれば
那須雪絵「ここはグリーン・ウッド」を思い出さずにはいられないが、
スタート地点が同じだとしても、恩田陸が書いて他人と同じ路線を歩むわけがないのだ。
この人はほんとにヘンな人です。
この「ネバーランド」はそこまでヘンな話じゃないけどさー。
でもこんな話なら、ホラーっぽさとかミステリっぽさとかを普通なら出さずに書くんじゃないか。
なんでこう毎回うすら寒い……。
小ネタとして「木曜組曲」のひな型のようなアイディアをわざわざちらっと付け加える。
こういうのは別な話のために大事にとっておけ!と言いたい。
恩田陸の話を読んでいると「ああ、このアイディアで0.1本書けるのに……」とよく思う。
わたしの心配するこっちゃないですが。
登場人物である4人の設定をよく作った。しかもびみょーに後味が悪い設定を色々と。
そうか、あの状況は完全に犯罪だが、男女を入れ替えると犯罪だと気付けない……
わたしは基本的に苦みの強い話は嫌い。なので、恩田陸を好きだと言えないところが
我ながら残念だけれども、恩田陸は書くべくして書いている人だと思います。
この作品は恩田陸の恩田陸らしい話かな。
最初に読むならあまり毒のない「夜のピクニック」→「ネバーランド」→「木曜組曲」
という流れがお薦めであろうか。
まあ、「夜のピクニック」の純粋な爽やかさが気に入った人が
次に「ネバーランド」を読んだらツライかもしれんが……
ついでに那須雪絵の「ここはグリーン・ウッド」
これも面白いマンガでした。今でも時々読み返す。
アマゾンのレビューに「絵が古いが」と書かれていてちょっぴりショック。
まあ実際、昔のマンガですけどねー。
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