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< ダークナイト ライジング >

あんまりこういうタイプの、ガシャーン!ドカーン!の映画は見ない方だが、
実はバットマンの第2シリーズは3作とも見に行っている。話のディテイルもまあまあだし、
……おそらくクリスチャン・ベールが好みなのだと思われる。

口コミで驚くほどの高得点になっていたので、
こういうタイプの映画にしては珍しいなと思いながら行ってみた。
うん。面白かったですよ。まああそこまで高得点になるほどではないと思ったが。

だが、けっこう前2作「バットマン ビギンズ」「ダークナイト」の内容を引きずるので、
前見たものなんてすっかり忘れているわたしには、話がちんぷんかんぷんだった。
……いたっけ?ジョーカー。ヒース・レジャーの怪演が全く記憶に残っていない。
かろうじてトゥーフェイスの、キカイダーみたいな笑える造型が浮かんでくるだけで……
なので、(もう封切りからずいぶん経って上映館もそろそろなくなってくる頃だけど)
今から見ようとする人は、1作目2作目も見てから行った方がいい。

話は、正直言ってねー。
こっちが前の話を忘れていることもあり、制作側の詰め込みすぎと、細かい部分が雑なせいで、
突っ込みどころは満載ですよ。
わたしはこういうところがかなり気になる方ではあるのだが……
……しかしこの映画に関しては、「わかった、細かいところは気にするな」という気分になった。
いいじゃないか。バットマンが不気味かっこ良くて、キャットウーマンが色っぽくて、
べインがすごく怖くて、メカがかっこ良くて、映像に迫力があれば。十分だ。

話はわりと凝ってるんですよね。凝る方向が、……若干首を傾げる部分があるが、まあいい。
しかし終盤のどんでん返しが、「WAO!」という感じでヤラレました。
そうか、だからこういうキャスティングか……。オカシイと思っていたんだけど。

話は見てからのお楽しみ。

しかしクリスチャン・ベール老けましたねえ。
ただでさえ初登場時点で長年の引きこもりで、杖が必要な怪我人なので、すでに老境っぽい。
まあ本作であまりかっこいい主人公でも浮くからいいんですけど。
でも瞳と口しか出してないことが多い役柄で、感情を表現するのは努力賞。

アン・ハサウェイがはまりましたねー。
悪女っぽくて色っぽくて、大成功な感じでした。もっと出番が欲しかったなー。1作では勿体ない。
あの、タイヤがぶっといバットマンバイクが似合うこと似合うこと。
まあ唯一難を言えば、あの背中で、バックが開いたイブニングドレスは止めた方が良かった。

トム・ハーディこわい。まるでダース・ベイダー。
でもすごいね、最終盤には目だけで、切なさを見事に表現してたよ。
ゲイリー・オールドマンは彼らしく、役柄にはまっており。
「行くぞ、ルーキー」のシーンはかっこよかったなあ。
マリオン・コティヤールはとてもいいキャスティング。スタッフお手柄。
彼女は説得力があるわー。けっこう難しいですよね、今回の立場は。

わたしの今回のお気に入りはジョゼフ=ゴードン・レヴィット。
いいですね。雰囲気あるし。左右の目の大きさが違うし。関係ないか。
ストイックで誠実で正義感強くて、感情も豊かで頭がいい。彼も1作では勿体ない。

モーガン・フリーマンは、1作目2作目では「技術畑の人に見えない!」と文句をつけたんだけど、
3作目になるとね。さすがに慣れましたわ。
今までもそういうキャラクターなんだけど、今回は特に、ああいう絶対絶命の状態の時に、
他人事みたいな気楽なコメントを残すのがツボにはまった。
具体的にどんなコメントだったかというのを覚えてないのが残念だ。

そしてお気に入りのマイケル・ケイン。
あの正調ブリティッシュ!がとても好きなんだけれど、今回はブリティッシュらしい遊びはナシ。
まあ、若干ないこともなかったが、何しろ今回は彼、物語のシリアス部分に相当噛んでるし。
シリアス部分の演技がメインになってしまった。
いや、でもいい話にしてくれてますけどね、彼が。

さて、この後はネタバレです。

あの終わり方で、続かないということはあり得ないですよね?
だってあれで終われば、ロビンの立場は一体どうなる?始まる前に終わる、みたいになっちゃう。
盛んに3部作3部作と言っているけど、結局“海賊”も次の3部作が始まったわけだし、
これも、もっと作れるように終わってますよね。
じゃなければ最後、あんな風にはっきり出さない。

そして、ワタシ的な突っ込みを若干入れておきたいと思います……。
いいんだけどさ。楽しんだんだから。
しかしほんとに、前2作見てから行くべきだったなあ。

ロシアの博士を拉致するのはいいが、意味もなく方法のハードルを上げてないか。
飛行機を墜落させて死んだことにしたいというのはわかるが、
あんな風に釣り針を差し込んだり、あんな風に機体を爆破したら、
その不自然さが事故調査で絶対ひっかかると思うんだけど。
影の軍団の犠牲も無駄に多かった気がしたんだ。むしろいた筈のない遺体の情報が出てきた場合、
飛行機事故の不審性は飛躍的に増大しないかね?

いくらなんでも杖を突いている怪我人が、大リーグ養成ギプス(嘘)をつけた途端、
壁を蹴り飛ばせるようになるのはあまりにも無理が。

杖をついてパーティ会場に入っていったのに、ダンスをしている時は優雅に踊れるのは、
挙動不審じゃないか?ギプスをつける前か後か忘れたけど。
注目の人なんだから、誰か気づくだろう。

今回の空中戦闘機はバットというよりカナブンみたいな造型になっていた気が。
まあ好きだけど。しかしあの飛行訓練を、ブルースが一体どこでやっていたのか気になる。
摩天楼をすり抜けていく精度まで運転の腕前を上げる時間は、どうやってもなかった気が。

破産した人の大邸宅が無傷ってどういうことでしょう。真っ先に処分されてしまう気がする。

やっぱ、マスク狙うよなあ。……あんなにちゃちなら、バットマンの一撃であっという間に
マスクが壊れて決着がつくはずなのに。フェアプレイにこだわるという存在ではないはずだ。

中肉中背の人が渡れなかった氷の川を、なんで大の男が5,6人も至近距離にいて氷が割れないんだろうか。
さらに、その上バットマンなんか体重100キロを超すだろうに、なぜそれでも割れないんだろうか。
割れるかどうかひやひやもんのところなのに、なんでバットマンは
そんな緊急時に自分の形の花火を本部長に点火させるのだろうか。
そんな悠長なことをやっている場合なのか。

副本部長の造型は、……わたしはとてもブッシュ大統領に見えたんですけど、違いますか。

パンフレットを見てわかったんだけど、キリアン・マーフィが似非裁判官をやってますね。
あれは何でそういう経緯になったのか……

警官隊。何か月も地下に閉じ込められていたら、もっと消耗しているし、
正直ほとんどの人は自力で歩くどころじゃないよなあ。
地上で苦労しているレヴィットたちがどんなに努力しても、何百人何千人の地下の警官を
養うなんて無理。出てきた警官の制服がかなりきれいだったっちゅうのも……。

話的に、本部長がデントの正体を黙っていたからって、そんなに責められることなのか?
デントが結局何者だろうと、デント法という法律の効力に問題がなければいいんじゃないの?
新聞ネタがない時なら別、あの非常時にかかわずらうことと違うだろう。

地の果ての監獄は、……言われているほどスゴイものには見えなかった。
どうせCGで作るんだから、高さはあの倍くらいあった方よくない?
2時間くらいで登れそうな壁に見えたよ?ロッククライミングの練習にもってこいの。
ここはオーバーなくらいに不可能性を表現しても
ゆるされる部分だよね、物理的事実は置いといてもさ。

いやしかし、あのどんでん返しはやられたねー。
わたしは素直な観客なので、全然気づかなかった。たしかに妙にきれいすぎるとは思っていたのよ。

他にもいろいろ。多分色々あったはずだが、覚えているのはとりあえずこんなもん。
まー、でも面白かったからいいです。ここらへんは。

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