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◇ 連城三紀彦「戻り川心中」

連城三紀彦、多分2冊目。
達者だなあとは思うけれど、好きかって言われると……。たとえて言えば東野圭吾。
上手いけど、フォーマットで書いている感触がなきにしもあらず。

これは短編集なんですよね。表題作の「戻り川心中」以外はタイトルに花が入っていて、
花がモチーフになっている。きれいでかっちり作られた上手な話。

――だが上手な話が面白いかと言われるとね……。わたしの好みとは違うんだよなあ。
ミステリと情念とかっちりした設計図が奇跡的な組み合わせで成立しているが、
情念とかっちりの相性が悪いんじゃないかと……。
衒学的に例えれば、三美神は貞潔・愛・美で、貞潔と愛がなかなか相容れないという。

演歌的な世界をミステリの枠組みで描く。それは斬新だがコレジャナイ感があるのよね。
短編はそれぞれ、

「藤の香」――港町の色街で起こった三つの殺人事件。
「桔梗の宿」――娼家の客が殺された。その手には白い桔梗の花が握られていた。
「桐の柩」――渡世の世界で繰り広げられる、謎の男と女の関係。
「白蓮の寺」――焼死した父の記憶にまつわる苦悩と謎。
「戻り川心中」――天才歌人の二つの心中事件。その裏にある真実は。

ものすごく適当な説明をすると、こういう感じなんですよ。
なんかじめーっとした感じでしょう。どうもこの湿度の高さが乗り越えられない。

それに対して文章は美しいですねえ。情緒纏綿とした、というべきにやあらむ。
ただこれも湿度の高さに引きずられて、その美しさがそのまま受け取れないのよねー。
好みの問題だから、これはもう仕方ない。

たくさん書いている人だが、わたしはこないだの「造花の蜜」とこれ、
この2作で終わりにしようかな。
今後読み続けても、上手いんだが湿度の高さが……と永遠に言い続けてしまう気がする。

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