若い頃は西洋絵画にしか興味がなかったが、だんだん日本画も好きになって来た。
今はきれいな日本画を見ると気持ちがすっきりする。
でも実は日本画って見る機会が相当限られるのよね。
良い収蔵品を持っている美術館でも、常設展にはほとんど出してくれてない。
それは日本画が光に弱いから。どんなに作品保護のために照明を落としても、
ずっと長い間展示しておくわけにはいかない。
だからいい日本画は特別展を狙って行くしかなく、地方民がいい日本画を見るのは
なかなか難しいことになっている。
出光美術館門司。このタイミングでなんといいエキシビを。
いい日本画を見る機会があって本当に良かった。アリガタイアリガタイ。
出光がいい物を持っているのは先刻承知だが、門司港に別館を建てたのはここ数年で知った。
そうねえ。出光佐三はこの辺の人だもんねえ。映画「海賊と呼ばれた男」の知識しかないが、
この辺りは縁のある土地だろう。大金を稼いだ人の、いいお金の使い方。
今年はオープン25年の節目の年だそうだ。だからいいものがきていたのかもしれない。
建物は大きからず小さからず、ちょうどいいサイズ。
2階がメインの展覧会場。小さい。3階は副のテーマの展覧会場。小さい。
でもこのくらいでちょうどいいの。1人か2人で1作品を眺めるような距離感が。
京の琳派、江戸の琳派、乾山の焼き物という3ジャンルを合わせて20点が2階に。
茶の湯の美というテーマで茶碗、花器、その他で12点が3階に。
本阿弥光悦、俵屋宗達、尾形乾山、酒井抱一、鈴木其一がそれぞれいくつかずつ、
他に聞いたことのない人が一、二点ずつという構成でした。
でも大物ではなかったけど、みんな良かったですね。
「伊年」印「四季草花図屏風」
日本画としては線がぼってりとしている。きれいなところもある。
紫蘭の線と花が良かった。紫陽花が愛しい。全体的に愛すべき作品。
喜多川相説「四季草花図貼付屏風」
銀の切箔が黒くなってしまっているのは残念だったが、あざみの細かさなどが
博物的で良かった。黒に白が浮き上がっているのも。
酒井抱一「八ツ橋図屏風」
光琳の同テーマと比べると、ちょっと弱い、テンションが足りない印象だった。
でもよく考えてみると、光琳の「八橋図」の実物を見たことがなかった。
たしか光琳は型紙を使って省力化を図っていると読んだことがある気がするが、
抱一は型紙を使っていないような気がした。でも光琳の実物を見ても、
多分型紙はわからない気がする。
鈴木其一「蔬菜群虫図」
其一はいろんな絵を描いた人だが、うっすら狂気が宿る絵師だと思っていて。これもそう。
この絵はテーマからして若冲みを感じますね。鈴木其一もまとめて観たい絵師だなあ。
プライスコレクションにまあまああったし、誰かと抱き合わせでエキシビを
一回見た気がするけど。
尾形乾山「錆絵竹図角皿」「色絵百合撫子文角皿」「色絵芦雁文透彫反鉢」
乾山はおおらかで力強くてほんのちょっと繊細。光琳が触れれば切れるような才を
感じるのに対して、乾山の方は温かみを感じる。
好きな絵の絵はがきがあれば嬉しかったんだけど、「色絵百合撫子文角皿」だけだった、
絵はがきがあったのは。いつも不満を感じるのよね、エキシビのショップの品ぞろえに。
美術を展示している2階、3階の他に、別棟で出光佐三の資料館がしっかりと
作られていて、ここも見ごたえがあったと思う。ゆっくり見たらここだけで
一時間くらいは必要かもしれない。わたしはさくっと見たけど、それでも30分くらい。
いい美術館でした。近くにこういうのがあればいいんだけどねえ。

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